深瀬昌久写真展「救いようのないエゴイスト」を見る


 東京渋谷のDIESELアート ギャラリーで深瀬昌久写真展「救いようのないエゴイスト」が開かれている(8月14日まで)。深瀬は1934年北海道生まれ、日本デザインセンターや河出書房に勤めた後フリーのカメラマンになる。荒木経惟東松照明細江英公、横須賀功光、森山大道らとワークショップ写真学校を開講したりした。また深瀬は、妻洋子や肉親、カラスや自分自身を被写体にして写真展や写真集を発表していた。ところが1992年6月、新宿ゴールデン街で飲んでいてバーの階段を踏み外し、脳挫傷の大けがをし、重度の障害を負った。施設に入院し二度と写真を撮ることはなく、20年後の2012年に78歳で亡くなった。
 あれほど華々しく活躍していた深瀬が突然姿を消し、どうしてしまったのだろうと不審に思っていたが、大けがで入院し回復することなく3年前に亡くなったいたことを今回知った。東松や森山に比べて、どこか写真が冷たく感じる印象があった。アラーキー同様妻を撮っていて写真集の題名にしていた。アラーキーの妻が陽子なのに深瀬の妻は洋子といった。陽子さんが幸せそうな表情で写真におさまっていたのに、洋子さんはそうは見えなかった。今回年譜を見て、洋子さんとは離婚していたことを知った。
 初期の写真で、北海道で写真館を開いていた父親のスタジオで、家族そろった記念写真や父親の横にヌードの洋子を立たせた写真があったことを思い出した。3年ほど前に表参道のラット・ホール・ギャラリーで深瀬昌久写真展があったというが知らなかった。今回20年ぶりで見た懐かしい深瀬昌久の写真だった。
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深瀬昌久写真展「救いようのないエゴイスト」
2015年5月29日(金)−8月14日(金)
11:30−21:00(不定休)
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DIESELアート ギャラリー
東京都渋谷区1−23−16 cocoti B1F
電話03−6427−5955
http://www.diesel.co.jp/art/