東京銀座のギャラリーゴトウ2nd roomで馬場知子展が開かれている(7月27日まで)。馬場は1991年に女子美術大学絵画科版画専攻を卒業し、1992年に同大学研究生を修了し、翌1993年に銀座のギャラリー山口で初個展を開いている。馬場は版画家だが色彩が美しい。またエッチングで制作しているが、しばしば手漉き紙を使っている。しかも紙原料にピグメントを吸着させて作ったカラーの紙原料を絵の具のように使っていて、いわば「紙によるドローイング」を行い、それにエッチングをしているのだ。
またあらかじめ切り抜いた銅版を使ってエッチングをした作品もあり、その場合銅版の形に手漉き紙がプレスされて、圧着されていない漉かれたままの紙の表情と相まって不思議な面白さを見せている。
T字形の作品も面白かった。手漉き紙に顔料を掛けた紙を漉き込み、そこに正方形の6枚の銅版を置いている。6枚それぞれに抽象的な形が描かれ、それがプレスされていない紙の柔らかい地に浮き上がって、馬場には珍しい装飾的な美しさを見せている。
馬場の多様で色彩に富んだ版画作品。会期が1日だけになってしまったが、ぜひ多くの人に見てほしい。ギャラリーゴトウの2nd roomは主会場の奥になっている。広くはない会場だが、作品点数に不満を抱くことはないだろう。
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馬場知子展
2013年7月22日(月)〜27日(土)
11:30−18:30(最終日16:30まで)
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ギャラリーゴトウ2nd Room
東京都中央区銀座1-7-5 中央通ビル7階
電話03-6410-8881
http://www.gallery-goto.com