松尾玲央奈展の不思議な立体


 東京銀座のガルリSOLで松尾玲央奈展が開かれている(3月23日まで)。松尾は1984年福岡県生まれ、昨年女子美術大学大学院博士後期課程を修了した。ガルリSOLでは女子美術大学を卒業した2007年の初個展から今回で6回目になる。


 今回の個展が今までと違うのは電球を組み込んでいることだ。中央に大きな立体が置かれている。何か工場に据えられている工作機械のようにも見える。また壁に取り付けられた金属のパイプを接合したような立体もある。これまた工場に置かれていても不思議ではない形だ。しかしどちらも実際の機能は持っていない。機械に似せた美術作品なのだ。外観だけ似せて機能のない形、SFにそんな作品がなかっただろうか。
 しかし美術作品が人や風景を再現していることを思えば、機械をモデルにしてそれを再現することも不思議ではないのかもしれない。どこか戦前のイタリアの未来派に通じるものがあるのではないか。
 松尾はジャッドが好きだと言っていた。作家の韜晦でないとすれば、情緒的でないことや機能を否定したところあたりが共通するのだろうか。
 女子美には金属を使ったおもしろい立体作家が何人もいるという印象が強い。


2つの松尾玲央奈展が開かれている(2012年3月8日)
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松尾玲央奈
2013年3月18日(月)〜3月23日(土)
11:00〜19:00(最終日17:00まで)
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ガルリSOL
東京都中央区銀座1-5-2 西勢ビル6F
電話03-6228-6050
http://www005.upp.so-net.ne.jp/SOL/
※昨年移転し、藍画廊が入っているビルの6階になった