ガルリSOLの松尾玲央奈展を見る

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 東京銀座のガルリSOLで松尾玲央奈展が開かれている(3月30日まで)。松尾は1984年、福岡県生まれ。2007年に女子美術大学芸術学部立体アート学科を卒業し、2012年に同大学大学院美術研究科美術専攻後期博士課程を修了している。博士論文は「抽象性と感情移入が出逢う瞬(とき)」とある。初個展は2007年ガルリSOLで行い、以来今回が10回目。そのほか女子美アートミュージアムや銀座gallery女子美など個展を多数開いている。
 今回画廊の壁に松尾の言葉が貼られている。

幾何学的な要素を含む形態の制作を行っていくなかで、/この様な形態に感情移入することが出来るとすれば、/どのような点においてそれを行うことができるのか…/さらに、抽象彫刻と感情移入との間には、どのような関係が存在するのか…/一人でも多くの方に、/抽象彫刻の抽象性と感情移入が出逢う瞬間を感じて頂ければ幸いです。

 松尾は大きな作品を2点展示している。どちらも共通して金属パイプに隙間を作り、そこにファスナーを縫い付けている。ファスナーの取っ手は左右に動きファスナーが開閉するが当然金属パイプが開くことはない。金属パイプにファスナーが糸で縫い付けられていることの不思議さ、金属パイプとファスナーという組み合わせの面白さ、見る者はそれを体験すればいいのだろう。

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 金属パイプとファスナーの組み合わせは岡本太郎の絵画「森の掟」を思い出す。魚のような獣のような動物の腹にファスナーが付いている。どこか攻撃的な印象の絵画だ。でも松尾は岡本のこの作品を知らないという。では岡本太郎に触発されて制作したのではなかったのか。岡本太郎との共通性を感じたことで気づいたことがあった。二人には作品の攻撃性も共通するのではなかったか。とくに松尾の作品にはいつも遠くで武器に共振するものを感じたのだった。

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 最後に掲出したのが岡本太郎の「森の掟」。
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松尾玲央奈
2019年3月25日(月)-3月30日(土)
11:00-19:00(最終日17:00まで)
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ガルリSOL
東京都中央区銀座1-5-2 西勢ビル6F
電話03-6228-6050
http://www005.upp.so-net.ne.jp/SOL/