パーソナルギャラリー地中海の中津川浩章展「記憶の痕跡 The trace of memory」を見る

 東京渋谷区代官山のパーソナルギャラリー地中海で中津川浩章展「記憶の痕跡 The trace of memory」が開かれている(12月10日まで)。中津川についてはほぼ5年前のマキイマサルファインアーツでの個展を紹介したことがある。その時の紹介文から、

 中津川の個展をもう10年余見てきている。最初中津川は抽象だった。指を使ってアクリル絵の具でドローイングするスタイルは初めから今日まで変わっていないが、5年ほど前のギャラリー日鉱での個展から具体的なイメージが現れてきた。それまで線を主体とする抽象だったのが飛行機とか建物をイメージさせる具体的な形が現れてきたのだ。具体的な形とは言っても写実的な具象画とは全く違う。抽象を描いていた頃、良い画家だと思っていたが、日鉱の個展でそれまでと違う面を見て一皮むけたという印象を持った。確実に作品が深化していたのだ。
 さて今回の個展だが、イメージはさらに展開して人物が現れた。部屋に閉じこめられた人物のイメージや、殺されたのか倒れている人物が描かれている。中津川は大きく弧を描いて変わりつつある。その現場に立ち会っている。
中津川浩章個展を見る(2007年1月16日)


 中津川の絵画は端的に美しい。具象的だが抽象的でもある。建物や人物、風景やステルス戦闘機のようなもの、一体に激しいようなものが描かれている。穏やかな絵画ではない印象がある。ところがそれが美しいのだ。
 中津川は1958年静岡県生まれ、1978年武蔵野美術短期大学を卒業したあと、和光大学人文学部芸術学科を1982年に卒業している。ギャラリイKやパーソナルギャラリー地中海、マキイマサルファインアーツで何度も個展を開いている。2000年のギャラリー日鉱での個展は大きな会場いっぱいに作品を展示し、それまでの抽象から形が現れはじめ、とても印象的だった。
       ・
中津川浩章展「記憶の痕跡 The trace of memory」
2011年11月26日(土)−12月10日(土)
13:00−18:00(日・月・祝祭日休廊)
オープニングパーティー 12月2日(金)17:00−18:00
       ・
パーソナルギャラリー地中海
東京都渋谷区代官山町20-14 東急アパートアネックス501
電話03-3496-6387
※ギャラリーのあるマンションは個人の住宅であるため玄関にはオートロックが設置されている。ギャラリーへ行くためには、東急東横線代官山駅の正面口を出て、すぐ右手にある東急アパートアネックスというビルへ入る。このビルは正面に駐車場があり、チェーンが張り巡らされている。チェーンを外すかまたはまたぎ越えて敷地に入り、玄関ロビーに入る。この先のドアは施錠されていて入ることができない。右手にある郵便受けにブザーがあり、501号室のブザーを押すとリモコンで解錠してくれる。帰るときもドアは施錠されているので、ドア右手のボタンを押さないとドアが開かない仕組みになっている。