蜂屋未来の作品の魅力

 京橋のアートスペース羅針盤で「セックスは女」という妖しいタイトルの美術展が開かれている(3月12日まで)。
 思わせぶりなタイトルは本当は「性別は女」くらいの意味だろう。武蔵野美術大学教授の内田あぐりが推薦する女性作家たちが作品を発表している。中野めぐみ、蜂屋未来、佐野淳子の3人だ。なるほど内田あぐりが推薦するだけあって、いずれも水準の高い作家たちだ。
 その中で私は蜂屋未来に注目した。蜂屋は1984年千葉県生まれ、昨年武蔵野美術大学大学院日本画コースを修了して、現在同大学日本画学科研究室に勤務している。
 蜂屋は綿布にアクリル、綿、刺繍糸を使って作品を作っている。「緋色の星座」と題された下の作品がとても良かった。人物の形に綿が入っていてレリーフ状になっている。刺繍糸でかがって、それが星座にも見える。少女にも少年にも見えるが、何か病気か災害によってさいなまれているようにも思える。人間存在の本質的弱さ、傷つきやすさを表しているようにも見える。とても魅力的だ。

 次に示す小品「矯正による傷跡」も良かった。この写真は色彩がうまく再現できていないが、もっとピンクが柔らかい美しい作品だ。

 3番目に示したのが大作で、「パンティーストッキングという矯正器具」と題されている。麻綿布にアクリル、和紙、綿、レース、ビーズが使われている。

 推薦している内田あぐりの言葉。

蜂屋未来は撓(たわ)む布に沁み込ませるように人間を描く。また布を縫う行為によって、肉体性と女性性を感じさせる。

 蜂屋未来の媚びのない官能性がとても魅力的だ。
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「セックスは女−−中野めぐみ・蜂屋未来・佐野淳子」
2011年3月7日(月)→3月12日(土)
11:00〜19:00(金曜のみ〜21:00、土曜のみ〜17:00)
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アートスペース羅針盤
東京都中央区京橋3-5-3 京栄ビル2階
電話03-3538-0160
http://rashin.net/