京橋のギャラリー・ビー・トウキョウの安齋歩見展から考えたこと

 東京京橋のギャラリー・ビー・トウキョウで安齋歩見展が開かれている。

 写真は同展のDMハガキ、実際の作品は65cm×150cmのリトグラフで左右がもっと大きい。それにもっとずっと明るい。タイトルは「ピーナッツ戦争#6」、ピーナッツを使って立体を作り、それを撮影してリトグラフにしている。
 ほかには、てるてる坊主を並べて写真に撮りそれをリトグラフにしたり、ランドセルの模型を並べて撮影したものもあった。ピーナッツに眼が描いてある作品があって違和感を持った。作家によれば友達との合作とのこと。彼女(友達)は何にでも眼を描くらしい。
「ピーナッツ戦争」のみがおもしろかった。ピーナッツが爪楊枝のような棒を背負っている。タイトルから勘案すると銃を背負った兵隊に見える。ここで浜田知明を連想した。転がしたピーナッツの下腹部あたりに爪楊枝を刺せば、もろ浜田の引用となる。あとはどんな形を作っても見る者が連想してくれるだろうに。この作品止まりなのは残念だった。
 チャペックの「山椒魚戦争」とも関連はないらしい。
 浜田はカリカチュアライズした銅版画で戦争の悲惨をを描いた。それはイラスト的でありながら優れてリアルな作品だった。だからピーナッツでもそれが可能なはずなのだ。
 もう10年近く前になるが、銀座のギャラリー小柳でアメリカ人の作家の映像作品を見て圧倒されたことがある。1台のピックアップトラックが原野=オフロードを走り回っている。トラックの後ろにギターがロープで結ばれていて、走り回るトラックに引きずり回されている。大きなエンジン音とともにトラックは延々と走り続ける。もうギターはぼろぼろに壊れている。これは昔の黒人奴隷に対する白人のリンチを再現したものだ。引きずり回されているのはギターなのだが、容易に黒人だと分かるだろう。
 せっかくピーナッツに目を付けたのだから、もう一歩踏みこんでほしかった。それを初個展だという若い作家に望むのは酷だったろうか。
 下の作品は浜田知明の作品、9月5日まで神奈川県立近代美術館葉山館で浜田知明展が開かれていた。


安齋歩見展
2010年9月6日(月)〜11日(土)
11:00ー19:00(金曜ー21:00まで、土曜ー17:00まで)
ギャラリー・ビー・トウキョウ
東京都中央区京橋3-5-4 第1吉井ビルB1
電話03-5524-1071
http://www.gallery-b-tokyo.com/