子供の頃の夏、タバコ屋の太ったおばさんは「暑い暑い」と言って上半身裸でうちわを使っていた。友だちのお父さんは畑仕事の後、川で身体を洗っていて近所のおばさんに「ご立派なお道具だこと」とほめられていた。昔の村の生活は純朴だった。
以前、雑誌「Weeklyぴあ」の「はみだしYouとPia」に上記の投稿が掲載されたことを書いた。(id:mmpolo:20071005)
昭和30年代の飯田市近郊の農村の実話だ。タバコ屋の太ったおばさんの大きな乳房を憶えている。ただ私は小学校低学年だったが、それをエロティックなものとして見ていたのではなかったと思う。
岩阪恵子が書いている「画家 小出楢重の肖像」(新潮社)に小出の絵日記「断雲日録」が紹介されていて、その明治43年7月9日のところに下に載せたスケッチが掲載されている。これは小出の実家の薬屋の台所風景だという。スケッチの左端を下着1枚で歩いているのが小出自身、「かつお節を掻いている女(右端)と両手に鍋やなにかを運んでいる太った女(中央)は諸肌脱ぎになって上半身の着物を腰のあたりでだぶつかせている。」(岩橋の文章より)
裸の胸を露わにするのはそんなに珍しいことではなかったようだ。小出は明治43年の大阪市島之内、私の経験は昭和30年ころの飯田市近郊の農村、ざっと45年ほどの差があるが、まあ鄙には古い文化が残るものだから。