山本弘の作品解説(23)「雪の三叉路」


「雪の三叉路」、油彩F10号(53cmx45.5cm)
 1970年代後半の飯田市での個展で発表された。先に紹介した「三叉路」(id:mmpolo:20081222)とよく似た構図だ。まるであぜ道のような細い三叉路の角に電柱が立っている。道の両側の霜枯れた畑に雪が降っている。吹雪かもしれない。畑の黒と鼠色、そこに大きな白い筆致で雪が降り込んでいる。無彩色の画面に道だけが茶色に彩色されている。
 私はいつだって山本弘の絵を冷静に見ることができない。絵の向こうには弘さんがいる。「雪の三叉路」は単なる雪の降る風景画ではない。これは山本弘なのだ。
 (mmpolo所蔵)