ニホンカワウソが好きになったわけ

 先日「ニホンカワウソ絶滅宣言」(id:mmpolo:20090102)というエントリーを書いた。それに対してyukioinoさん(id:yukioino)が★印を付けてくれ、「とても悲しい」と書いた部分をチェックされていた。それで、「とても悲しい」が唐突だったと気づいた。なぜ私がニホンカワウソの絶滅宣言に動揺したのか、そのわけを書いてみたい。
 娘が小学校3、4年生の頃、家族3人で落合恵子の経営する表参道の子どものための書店クレヨンハウスへ行った。そこで娘のためにカミさんが斉藤敦夫の「冒険者たち」と「ガンバとカワウソの冒険」(どちらも岩波少年文庫)を買ってやった。その「ガンバとカワウソの冒険」に娘がはまった。内容をAmazonで見れば、

 ガンバと15ひきの仲間は,ゆくえ不明のネズミをたずねて,四の島に渡ります.探しあてたネズミのそばにいたのは,死に絶えたはずの2ひきのカワウソでした.凶暴な野犬と戦いながら,カワウソの仲間が生き残っているかもしれない伝説の河「豊かな流れ」をめざして冒険がはじまります.そこには,想像をこえる体験が….

 この本でカワウソが絶滅寸前だと知る。娘から現在のカワウソのことを知りたいと頼まれ、高知新聞社に電話して教えを乞う。ニホンカワウソ高知県でのみその生存が確認されているが絶滅の恐れがあるとのこと。高知県の高校の先生でニホンカワウソを研究しているという豊永哲史さんを紹介してもらう。この豊永先生が野生の生きているニホンカワウソを最後に撮影した方だった。豊永先生からニホンカワウソ友の会の存在を教えてもらう。ニホンカワウソ友の会に連絡を取り、娘は早速入会した。そして父兄同伴で友の会の例会やイベントに参加する。
 その後娘とカワウソを見て歩いた。市川市動物園でカナダカワウソコツメカワウソを見たし、池袋サンシャイン動物園で狭い飼育室に飼われている可哀相なカワウソも見た。上野の東京国立博濡館でニホンカワウソの剥製も見た。社員旅行で行ったシンガポールではNight zooに参加し、夜中に暗い川でカワウソの群れが泳いでいるのも見ることができた。オオカワウソのTシャツとカワウソポーチも買った。
 娘が小学校5年生の頃、ニホンカワウソが生息している可能性がある高知県へ家族で旅行する。最後にニホンカワウソが目撃された須崎市の新庄川、そして四万十川(豊かな流れ)を見て歩き、豊永先生の案内で早朝の新庄川流域の調査に同行させてもらう。もう20年以上、毎朝出勤前にカメラとビデオカメラを積んだ車で見て回っているとのこと。
 娘が興味を持つ以前に、私はマクスウェル「カワウソと暮らす」(富山房百科文庫)を読んでいたし、カミさんとデートした35年前、上野動物園でもカワウソを見ていた。
 そのように娘の情熱に付き合っているうちに私も深くニホンカワウソにとらわれていた。だからニホンカワウソの絶滅宣言はとても悲しかったのだ。