今回も初日に完売した桑原弘明展


 京橋のギャラリー椿で桑原弘明展が開かれている。私はまだ見てないが、もう何年も毎年見てきた。数センチ立方の金属の箱の中に小さく精密な部屋が作られている。ひとつが数十万円する。ギャラリー椿のホームページから。

桑原弘明さんは多摩美術大学油画科卒業し、20年近くの間、スコープを主として、さまざまな造形作品をつくっています。
 スコープ(Scope)とは顕微鏡や、望遠鏡などの倍率などを変えてー部分をみる器具の名称です。
 手のひらに乗るくらいの大きさの金属の四角い箱の中に、小さな小さな世界が入っています。
 箱の側面や上部、下部の穴があって、そこに懐中電灯をあて、覗き穴から覗くと、そのミニチュアの部屋や庭が浮かび上がります。
光をあてる穴によって、朝方、昼、夕方、夜、の光景のようにみえるのです。
 その小さな箱の中、誰もいない窓辺の椅子に自分が座っていたような、そんな感覚に陥ります。その世界の小ささに驚き、自分がその世界に入り込んでしまった感覚にクラクラします。
http://www.gallery-tsubaki.jp/2008/1206gt/1206.htm

 たった数個しかできないから早い者順だという。毎年早朝から並ぶが、今年は前夜から並んだ人がいたらしい。
 10年くらい前にドイツ文学者の種村季弘が評価し、NHK日曜美術館で紹介した。そんな因縁で種村の息子が経営している銀座のスパンアートギャラリーとギャラリー椿が隔年で個展を開いている。
 写真はそのスコープから覗いた小さな室内の様子。