スパンアートギャラリーの桑原弘明展「Scope」の不思議


 東京銀座のスパンアートギャラリーで桑原弘明展「Scope」が開かれている(12月24日まで)。主な作品は一辺が10cmくらいの四角い箱で、前面にレンズの入った小さな覗き穴がついている。箱の周囲にもレンズが入った穴が数個取り付けられている。周囲の穴の一つを選んで小さな懐中電灯で光を当てる。覗き穴から箱の中を見ると、そこには精密に作られたミニチュアの部屋が現れる。家具や鏡、窓や小さな机、2階に通じる階段やドアなどが見える。光を当てる穴を変えると、部屋は夜になり、あるいは外から夕陽が差していたり、また幻想的な風景になったりする。
 桑原弘明は20年前から毎年個展を開いている。最近はこことギャラリー椿で隔年に行っている。制作に時間がかかるため、展示される作品数はいつも10点以下と少ない点数だ。価格が60万円から160万円ほどと高額なのに、熱烈なファンたちがいて、入手するために毎回何人か初日の前夜から徹夜して並ぶ。
 もう何年も前、ドイツ文学者の種村季弘氏がNHK日曜美術館でこの桑原弘明を紹介したことがあった。おそらくそんな縁でスパンアートギャラリーで個展が開かれるのだろう。ここは亡くなった種村季弘の息子さんが経営する画廊なのだ。
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桑原弘明展「Scope」
2011年12月12日(月)〜12月24日(土)
11:00〜19:00(最終日17:00まで)日曜休廊
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スパンアートギャラリー
東京都中央区銀座2-2-18 西欧ビル1F
電話03-5524-3060
http://www.span-art.co.jp/