巷房での作間敏宏展「治癒」を見る

 銀座1丁目のギャラリー巷房と巷房2,それに巷房階段下の3カ所で作間敏宏展「治癒」が開かれている(9月1日まで)。
 まず巷房2では薄暗い空間に小さな家型のオブジェが並べられている。10年以上前に当時あった虎の門のギャラリー日鉱で行われた個展が再現されている。日鉱の個展では、とても広いスペースに農家が野菜を栽培するビニールハウスを3棟建て、床に藁を敷きそこに5ワットの電球を配置していた。野菜を栽培するビニールハウスが命を栽培しているこのとの象徴的なインスタレーションだった。
 階段下の狭い空間には木箱が何段も重ねられ、やはり底に藁が敷かれて5ワットの電球がぎっしりと置かれている。これまた孵化を待っている卵とか、集団でひっそりと暮らす小さな命を思わせた。木箱と電球の組み合わせなのにまぎれもなく有機的なもの、いや生命を感じさせるものだった。使い方の難しい階段下という空間を作間ほど巧みに利用している作家を他に知らない。



 さて、写真はメイン会場の3階の巷房の展示である。豚の生皮(なめしてない皮)で作られたビニールハウスを思わせる造形だ。皮にたくさんの穴を開け、その皮をたこ糸で縫い合わせてある。重量は一人で持てるほど軽いという。穴が開けられているので内部もさらに向こう側もよく見える。素通しの屋形(ハウス)だ。風通しが良い屋形というのか、内部が空虚な屋形というのか。これが何か意味を孕んでいることは想像できるものの、それが何なのかよく分からない。分からないが気にかかる造形なのだ。2度見に行ったが、もう1度行ってみよう。
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作間敏宏展「治癒」
2012年8月20日(月)−9月1日(土)
12:00−19:00(最終日17:00まで)日曜休廊
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巷房+巷房2+巷房階段下
東京都中央区銀座1-9-8 奥野ビル3FおよびBF
電話03-3567-8727
http://www5.ocn.ne.jp/~kobo/