野沢二郎展「雨後」を見る

 銀座3丁目のコバヤシ画廊で野沢二郎展「雨後」が開かれている(25日まで)。野沢二郎を初めて見たのは1993年6月、銀座8丁目にあったギャラリーQでだった。「平行樹」と題されたその個展はとても良かった。その時のDMをまだ保管している。

1993年野沢二郎展「平行樹」のDMハガキ
 その後野沢の絵は大きく変わって抽象表現主義的な方向へ移った。画面から明確な形が消えていった。しかし変貌した野沢の抽象がまた良いのだ。それも毎年さらに良くなっている。
 今年の作品は「雨後/うきくさ」「雨後/うすい光」「水面を過ぐる」「After Rain/記憶」「心象」などと題されている。水に関連した題名だ。

左:「雨後/うきくさ」227cmX182cm、右:「雨後/うすい光」194cmX130cm

「水面を過ぐる」130cmX162cm

「After Rain/記憶」80cmX117cm
 抽象なのにはっきりと空間がある。しばしば水を描いた映画監督タルコフスキーの映画のシーンが連想される。そして色彩が見事だ(写真では分かりづらいが)。具象ばかりが流行る現在において、野沢が抽象ですぐれた仕事をしていることが嬉しい。

野沢二郎展 10月20日(月)〜25日(土)
コバヤシ画廊 11:30ー19:00(最終日17:00まで)
東京都中央区銀座3-8-12 ヤマトビルB1
電話03-3561-0515
http://www.gallerykobayashi.jp/