NEWS LETTER/5月のあほうどり

 今に、お前のエントリーは単に人の書いたものの再録に過ぎないじゃないかと批判されるものと覚悟していた。そうしたら弁解する理屈を用意していたのだ。でも誰も言ってくれないから、あらかじめ言ってしまう。今から20年ほど前私は「NEWS LETTER/5月のあほうどり」を発行していた。娘が同人誌にはコピー本とオフセット本があると教えてくれたが、そのひそみに倣って言えばコピー本だった。発行部数十数部。友人や知人に郵送していた。それは面白い記事を集めてコピーしただけのものだった。そんなことをしたのは、当時購読していたたくさんの雑誌からみなが見逃しているだろう興味深い記事をを紹介したいからだった。
 創刊は1986年11月1日、最終号は1991年8月20日発行の第75号だった。つまり毎月1回強発行していた。毎号A4判で6、7ページ、それが定型郵便で送ることのできる重さの限界だったから。
 創刊の辞から(第3号に載せている)

 この度 "NEWS LETTER/5月のあほうどり" を発刊いたしました。
 私儀5月のあほうどり不肖なりと言えど、情報収集力についてはいささか自負するものがあります。そのように収集したささやかな情報について、しかし5月のあほうどり一人が私するに忍びなく、かつ情報公開の時流も座視しがたければ、さらにまた情報の共有によって人類の文化向上が計られるとすればこれにすぐる喜びもなく、このため満を持すこと2年、いよいよここに本紙を発刊するに至った次第であります。
 今後は5月のあほうどり選りすぐりのおもしろ情報を、不定期に無料でお届けいたします。
 皆様のご支援をお願い申し上げます。

 内容はってえと、第20号を見ると、朝日新聞の映画評を2点「リトル・ショップ・オブ・ホラーズ」「ブルー・ベルベット」、朝日新聞の展評「野見山暁治松樹路人」、FMfanの長岡鉄男のオーディオ評、ちくまに掲載された倉本四郎のエッセイ「悪夢の練習」、朝日新聞山田風太郎のエッセイ「余白を語る」、ぴあの新刊紹介「東京ーエスニック伝説」、朝日新聞の「下町唐座」紹介の記事、朝日新聞梅本洋一のエッセイ「ヌーベルバーグのもたらしたもの」、これで6ページだ。
 そのほか、婦人之友に連載された辻邦生の映画評、朝日新聞に毎月掲載された吉田秀和の「音楽展望」、三省堂の季刊PR誌「ぶっくれっと」の記事等々。つまり昔も今もあまり変わらないことをしている。変わったのは媒体だけだ。