新宿の外国人娼婦たち

 会社の部下でK君という男性がいた。仕事は要領が悪かったが、なかなかいい仕事をした。ある時1週間余の休暇を取って一人でタイのバンコクへ行った。後日聞くところによると、観光客が利用しない安ホテルを常宿にしていたという。タイ人の娼婦なども泊まっており、仲良くなった。
 現地で知り合った日本人の若者とミャンマーとの国境付近まで旅行したとき、国境近くの街にミャンマー人の女の子たちが出稼ぎに来ていた。要するに娼婦だ。この頃タイとミャンマーはそれぞれ2キロ以内はビザなしで自由に行き来ができたらしい。ミャンマーの娼婦たちは一晩の値段が700円だというが、値切れば500円になったという。K君の仲間が彼女たちを買おうとしたとき、われらのK君は「金で女を買っちゃあいけない」と止めたのだ。偉い。このひと言で私はいまでもK君を尊敬している。
 さて、もう日本に戻っている。K君は山の道具を買いに総武線大久保駅に降りた。そこから高田馬場へ歩いて行くつもりだったのに、方向を間違えて新大久保の方へ行ってしまった。このあたりは新宿歌舞伎町の奥に当たり、ラブホテル街になっている。そこへ迷い込んでしまった。ホテル街の角ごとに女の子たちが立っていた。コロンビア人の女の子が可愛くて、山の道具を買うためにお金も持っていたのでつい付いて行きそうになりましたと笑って話してくれた。もちろんK君はそんなことはしない。
 その話を聞いた私はまずバイクで見に行った。本当に角ごとに女の子たちが立っていた。別の日そのホテル街へ徒歩で見に行った。角ごとに女の子が2、3人ずつ立っていた。片っ端から話を聞いた。国はどこか、年齢はいくつか、値段はいくらか。タイ、ミャンマー、フィリピン、中国、台湾、韓国、マレーシア、インドネシア、コロンビア、ヨーロッパは東欧の子がいたと思う。年齢は自己申告だが20歳前後、値段は協定しているかのように皆同じで2時間2万円、泊まりが3万円。地回りに1人週3千円払っているようだ。好奇心が強いのでこんな調査をしてしまう。もちろん調査のみでそれ以上は踏み込まない。
 その後、新宿で飲んだとき2、3人の友人を案内した。一回り案内した後、こんなところで遊んではいけないと注意した。しかしのちに一人の友人があの後通ったと告白した。もう一人の友人は、田舎から上京してきた知人が冒険したいと言ったとかで、ここに案内した。知人は友人の前で可愛いフィリピーナを選んだ。ホテルに帰ってそのフィリピーナのパンツを脱がしたら男性だったという。友人はあそこにいる連中は全員男だと断言している。まさかそんなことはあるまい。
 この付近に親戚が住んでいるが、メニューがすべてハングル語のレストランや、韓国人専門の美容院があり、韓国人専用の成田行きリムジンバスも出ているという。もちろん白バスだ。商店街の放送は日本語、ハングル語、中国語だという。