映画「キサラギ」が面白かった

 映画「キサラギ」を見た。普段あまり映画を見ないので偉そうなことは言えないが、5段階評価で☆☆☆☆。「映画・演劇・音楽レビューBadlands」というサイトは、その演劇評が玄人裸足として私が最も信頼しているものだが、そこでこの映画を今年の日本映画の1、2番と評価している。見に行かざるを得ないではないか。


「Badlands 映画・演劇・音楽レビュー」より
http://bonobono.cocolog-nifty.com/badlands/2007/06/post_015e.html

自分のアンテナにまったく引っかかってこなかった作品だが、こんなオタクテイストな作品とは縁が無さそうな沢木耕太郎が「銀の森へ」で誉めていたのに興味を引かれ、見に行った。

結論から言えば、本年度の日本映画で1、2を争うことになるだろう傑作だ。

爆笑に次ぐ爆笑。ここの数年でもっとも大笑いした映画だ。しかも最後には、不思議な感動さえ残してくれる。ほぼ男5人しか出てこない密室劇で、これだけ面白い作品を作り上げた手腕には、ただただ敬服する他ない。2年前のマイベストワン『運命じゃない人』にも匹敵する上手さ。製作費は、同日に見た『ゾディアック』の100分の1程度だろうが、面白さではこちらの方が100倍勝っている。

 まず脚本の巧さだ。登場人物が5人の男だけ。B級アイドル如月ミキのファンたちで、如月ミキ自殺1周忌に高いビルの屋上の一室に集まり追悼パーティーを開く。そこで彼女は実は自殺ではなく殺されたのではないかと言い出す者がいてパーティーは犯人捜しの場となり、容疑者が二転三転四転する……。その過程で明らかになる彼らの実態。いや面白かった。今年の1、2番というのはほめすぎだが、人に十分推薦できる。私が絶賛しないのは娘に言わせると、父さんスノッブな映画が好きだからなあ。
 元は舞台のための脚本だそうで、密室劇になっている。古沢良太偉い!


【監督】佐藤祐市 【原作・脚本】古沢良太
【出演】小栗旬ユースケ・サンタマリア小出恵介塚地武雅香川照之