玄人の言葉

 先日、ひょっとこ乱舞という劇団の芝居を見た。初めて見る劇団だが、「タダ見でゴー」という無料チケットをもらったので、吉祥寺シアターへ行って「プラスチックレモン」という芝居を見てきた。作・演出:広田淳一。
 その感想をmixiの日記に書いた。

 これが何とSFの話。何人かの人間が別の次元の宇宙へ離脱してしまう。
 離脱者はまもなくこの世界に戻ってくるが、しばらくするとまた離脱する。
 行った先は2次元空間だったり、n次元空間だったりする。離脱している時間はだんだん長くなり、ついには1万年間は戻ってこないらしい。
 そういう難しい話を芝居でやるので、盛り上げるのが難しい。ただ役者は頑張っていたし、演出も面白かった。生や死を考えさせるのだが、話が大きすぎて収束しきれなかったように思う。

 これに対して、ぼのぼのさんがコメントをくれた。

 同感です。話自体は興味深いしテーマも意欲的なのだけれど、それを演劇という形でやるのに無理があると思いました。どうしても会話だけの芝居になってしまうので、無理にいろいろな動きを入れるのだけれど、その動きにドラマ的な必然性がない。そういう必然性のない表現を見ているとイライラします。
 あの内容だったら、もっと徹底して会話劇として練り込んでいくしかないでしょう。それでは退屈で見ていられないというのなら、そもそも演劇として上演することに無理があったのです。

 ぼのぼのさんは、芝居も映画もどちらも年間100本くらい見ていて、その劇評や映画評を「Badlands」というブログに書いている。
 私も芝居は好きだが、観劇回数は今年やっと6本め、玄人と素人の差だ。二人の感想を比べれば、ぼのぼのさんがはっきり問題点を掴んで、論理的に表現していることがわかる。玄人の表現は違うと思った。