東京銀座のギャラリー58で田中彰展が開かれている(6月5日まで)。田中は1949年高知県生まれ、1974年多摩美術大学美術学部グラフィックデザイン科卒業。いくつかの画廊で個展をした後、2004年ギャラリー汲美で個展を開き、汲美が閉じた後は主にギャラリー58を中心に活動している。58での個展はもう11回目になる。
田中はデフォルメした人物を描いている。どこかベーコンやデュマスに通じる印象がありながら彼らとは異質だと感じる。田中にはベーコンに感じられる神経症的な傾向がないからだろう。それは何かと言えば、田中の精神の健全さではないだろうか。
本人に聞いてみるとやはりベーコンが好きだという。
画廊のホームページに掲載されている田中のコメント、
いつも眼の前にある情景で気になるモノがあれば、小さな紙片に描きとめます。
決してそれは他人に見せる作品とかではなく、あくまでも私だけに解るメモです。暗号のようなものでしょうか。
そのメモを手掛かりに、まず絵を描き始めますが、次々に形と色は反射的に変化し、
最初のメモとはまるで違ったモノが発生してきます。
それを何度か繰り返すうちに暗号が解けるように、かつての記憶の情景と眼の前の絵が照合する時があります。
その瞬間 『シメタ!』 と思うのです。
そんな快感があるから、また次の制作が続けられるのかも知れません。
ギャラリー58はエレベーターのないビルの4階にある。階段数で47段になるが、何、亀戸駅や錦糸町駅、山手線などでも駅の階段は40段くらいのところが多い。ぜひ階段を登って画廊へ足を運んでほしい。
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田中彰展
2021年5月31日(月)-6月5日(土)
12:00-19:00(最終日17:00まで)
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ギャラリー58
東京都中央区銀座4-4-12 琉映ビル4F
電話03-3561-9177