腰パンは好きではないが

 腰パン(下げパン)に関して本場ニューヨークでも反対が多いようだ。朝日新聞のコラムから(4月26日)。筆者は山中季広記者。

 ニューヨークに最近、下げパン禁止を呼びかける意見広告が出現した。ジーンズをだらしなくずり下げた男性2人の後ろ姿を大写しにし、「ズボンを引っ張り上げて、君の印象も引き上げろ」と訴える。(写真には、Raise Your Pants, Raise Your Image!の文字が見える)
 冬季五輪で日本人選手の「腰パン」が議論を呼んだばかりだが、その流行の源だった米国では近年、青少年のズボンの位置がとみに低下。下着の下端まで丸見えの「尻パン」が目立つ。街で実際に見かけると、かなり不快だ。
 広告を掲げたのは州議会議員のエリック・アダムズ氏(49)。「警察に奉職して22年、服装の乱れは非行の兆しだと痛感した。腰のあたりならまだしも尻まで丸出しにした若者を放任しちゃいあかん」。反応は上々で、賛否は50対1の割合だそうだ。

 私も若者の腰パンは好きではない。しかし若者のファッションは必ず年配者の価値観に反抗するものなのだ。既成の価値観に反抗するものがカッコいいのだ。昔どこかの政党が言ったように犬が吠えても歴史は進む。腰パンはいっそう普及するだろうし、そのうち、尻出しだってあり得るだろう。
 どんなに親の世代が反対しても、子の世代の価値観がやがて世界を席巻するのだ。私もピアスが流行し始めた25年ほど前、そのうち鼻にピアスするやつが現れるよとジョークを飛ばしたが、本当に出現するとは思いもよらなかった。
 ただ、腰パンの裾を引きずって泥を付けたり、破れたりしているのは何とかならないか。引きずった裾は公衆便所へも出入りするのだろうし、そんなズボンで家の中へは入られたくない。それくらいは要求しよう。