30年ぶりに会った従妹のこと

 金沢文庫で叔母の葬儀があり不肖の甥私も列席した。そこで30年ぶりに従妹に会った。当時20歳くらいだった彼女がもう50歳になっている。かわいい娘だったが今もかわいくてきれいになっていた。不思議だったのが、30年の時をいっきょに飛び越えて20歳の彼女がそのまま何の断絶もなく目の前の従妹に続いている。まるでその30年前が昨日だったように! 〈時〉はある時は過去を忘却の深い渕に拉致して記憶から遠ざけてしまうのに、またある時は30年もの時間をまるでそんなものは存在しかったかのように消し去ってしまう。〈時〉が不思議なのか、あるいは従妹という関係が特殊なものなのか。そう言えば「いとこ同士は蜜の味」という言葉もあった。
 韓国ではいとこ婚は近親相姦だ。しかし世界ではレヴィ=ストロースのいうように、交差従兄弟婚が一般的らしい。交差従兄弟婚は、私(男)なら母方の男兄弟の娘と結婚するというもの。女性だったら父方の姉妹の息子と結婚する。英語ではスペルが分からないけど、クロス・カズンド・マリッジという。