過剰な人たち

 画廊回りをしていると同好のお仲間たちに会う。その中でも一番すごい人は三浦仂さん、ギャラリーの人たちは愛着を込めてイカさんと呼ぶ。名前の「仂(いさお)」の字を分解しているのだ。もう70歳くらいの方だが、年間に回るギャラリーの数が5,400軒だという。2番目が奇麻魔美術館の近藤実さん、年間4,000軒、こういう人たちを「過剰な人」と言いたい。私の年間2,000軒は三浦さんのたった1/3だ。閑話休題、この奇麻魔美術館のホームページのチープさはギネスものかもしれない。何しろたった2ページしかない。アクセス数もまだ3,500くらい。開設して数年は経っているのに。
 この「過剰な人」ですごいのは、ギャラリー椿の椿原さんのブログ(2008年11月15日)で紹介されているお友達だ。

 地質学が専門の高名な先生だが、クラシック音楽に造詣が深く、レコード・CDの収集も半端ではなく、5,000枚を超えるという。(中略)
 私どもの大切なコレクターの一人にTさんがいる。会社を定年後はすっかり顔を見せなくなくなってしまったが、この方は美術以外に大のクラシック好きとしても有名であった。ただし、レコードや蓄音機を集めるのではなく、コンサートを聴きに行くだけ。それなら私もという方も多いが、これがまた半端でない。一年に400回は聴きに行くというから凄い。とにかく毎日会社が終わると出かけるそうで、休みの日は午後と夜に分けていくから400回もうなずける 。

 以前仕事で付き合った青年(推定32歳)の友人は天才的ナンパ師で、20代ですでに「200人までは数えたが、それ以降は数えるのをやめた」と言っていたそうだ。彼は決して同じ女性と2度は会わなかったという。惜しい! 逢瀬を重ねてこそ本当の良さが分かるのに。
 しかし、こう見てくると「過剰な人」というのは一種病気なのかもしれないという気がする。