美術作品の鑑賞方法を教わった

 昨日は新宿区矢来町のセッションハウスへ行って来た。14日から「スパイラル・アート展Part2」が始まっていて、昨日はギャラリートークがあった。御子柴大三さんを司会に、柏わたくし美術館の館長堀良慶さんの話を聞いた。
 堀さんは今回展示された3人の作家(画家)大橋俊平、浅野紋子、木村浩之の作品に対して、参加者一人一人に感想を喋らせた。ニューヨーク近代美術館学芸員から伝授された美術の鑑賞方法だと言うが、自分でもやってみて大変有効な方法だと実感した。
 普通美術作品は一目見ればその善し悪しが分かってしまう。今までそれで済ましてきた傾向があった。この、作品について言葉で語るという方法は、必然的に作品をよく見て考えることを強いる。作品の構造がどうなっているか、何が良いのかあるいは悪いのか、じっくり見て考えないと言葉にならない。このように考えることによって理解が深まるのは事実だ。そう言えば昔東邦画廊の中岡さんから、君たち(中岡夫人と私)は作品を見てそれを言葉にできなければいけない。作品を言葉で解説できるようにならなければダメだと言われたことを思い出した。
 美術作品を理解するにはたくさん見ることが必要だ。たくさん見ればそれは脳内のデータベースに蓄積される。新しい作品を見たとき即座にデータベースと照合して善し悪しの判断が下される。判断するのは脳内のデータベースであって、意識の主体である「私」ではないのだ。
 以前読んだ信原幸弘「考える脳・考えない脳」(講談社現代新書)に、脳は反射を蓄積するだけで考えないとあった。考えるのは3つの条件の場合だけ。人と対話するとき、文章を書くとき、自問自答するときだ。例えば計算するときも紙に書くか頭の中で数字やソロバンを思い浮かべている。意識的に考えないと脳は考えないのだ。ただ反射によってデータを蓄積する。
 堀さんからは大事なことを教えていただいた。「スパイラル・アート展Part2」は9月23日まで。作家の選定は森本秀樹、古田恵美子の両氏が行ったという。