私は隠れた蠅捕り名人

mmpolo2007-01-09




 ゴキブリ! というカミさんの声にすっ飛んでいって、部屋の中に闖入してきたゴキブリを素手で叩き潰した。感謝されると思いきやカミさんと娘のひんしゅくをかってしまった。汚いと言う。いやゴキブリって本当は汚くないんだという衛生害虫の権威、安富和男・梅谷献二両先生の言葉を心に秘めて、でも顔には出さず詫びておく。次回からはちゃんと新聞紙を丸めてそれで叩き潰す。安富・梅谷両先生は「衛生害虫と衣食住の害虫」を執筆されている。その中で安富先生が次のように書いている。

 ゴキブリの害としては、1.直感的な不快感、2.悪臭(油くさいにおい)、3.病原菌(消化器系伝染病の細菌や小児麻痺ウイルス)の運搬、4.食品や書籍の食害などがあげられる。しかし、最大の害は1.によるもので、この点直接的な被害が問題となる他の害虫と比べ、異色な存在といえよう。

 一番大きな害は不快感だとはっきり書いているのだ。しかし、この時梅谷先生は、特に3.の病原菌の運搬をとらえて、これは削除した方がいいだろうと言われた。そのような問題はほとんどないから。それに対して、安富先生曰く、ゴキブリが病原菌を運ぶから不衛生だと書かないと殺虫剤メーカーが困るのだ。それでこのような記載になった経過がある。安富先生は殺虫剤抵抗性の権威で、殺虫剤メーカーとは幾分付き合いがあるらしい。人は誰でも何かの事情がある。でもこれでゴキブリは汚くないことが分かっていただけただろうか。
 もう素手でゴキブリは潰すことはないが、蠅は素手で捕る。さすがに飛んでいる蠅は捕れないが、どこかに止まったら素手で捕ることができる。まあ、捕獲の確率は50%くらいだが。
 止まっている蠅の2センチくらい上を狙って手を横に素早くさっと振る。ただ振ればいいのではなく、蠅の上の空間を横に10センチくらい払いながら、同時に手を握って蠅を掴む。この時10センチ行ってすぐ10センチ戻るのがコツだ。ゆっくりそっと手を開くと蠅が捕まえられている。ほぼ50%の確率だが。左手の指を使って蠅を潰す。この作業は見られない方がいいだろう。ほら蠅を捕まえたよ、と言ってティッシュペーパーに包みトイレに流しに行く。ちゃんと手を洗う。
 村の小学校の(男の)同級生は皆これができた。競って蠅捕りをしたから。蠅も多かったのだろう。いま東京でこれをしようと思ってもなかなか蠅がいない。名人の私にしてから素手で蠅を捕まえたのは去年1年間で2,3匹ではなかったか。こうして伝統の技が失われていく。