TS4312の桑原盛行展を見る



 東京都新宿四谷三丁目のギャラリーTS4312で桑原盛行展が開かれている(9月24日まで)。桑原は1942年広島県出身。1967年に日本大学芸術学部美術学科を卒業している。1968年にシェル美術賞展で1席を獲得した。同年サトウ画廊で初個展、その後伝説の南画廊やギャラリー上田、日辰画廊、かねこ・あーとギャラリー、ギャラリーa-cubeなどで個展を続けている。
 カタログに寄せた桑原の言葉より、

1964年の初め頃から、コンパスによる円を描き始めた。


・正方格子は、正方形が四方向に連続的に並んだとみなせる。
・私は、点の群れの最小単位を正方形の頂点に位置する4とした。
・そうして、この正方点格子を群れ造りの《母構造》とした。
・《格子の概念》を知ったのは、正確性を求めての工夫からだった。


私は、円は、点が活動した軌跡であると認識している。大きい円は、点の大きい活動であり、円が大きければ大きいほど円の重なりは深くなる。形の変化に豊かさが発生する。

 桑原はこれらの線を烏口を使って描いている。無数の線で描かれた円の重なりがほとんど無限を連想させて見る者を圧倒する。とくに初期15年間ほどの作品は無彩色的でイスラム美術をもっと複雑にしたような深さを持っている。今世紀に入ると華やかな色彩が加わり、奥行きが増している。



以下は上記作品の一部を切り取っている。





 画廊主の沢登丈夫の文章より、

……彼の画面は円だけである。彼は画面に絶対的な条件を付けて円の線を描く。その縁の軌跡を積み重ねていく。この規則的な円の集合が無機的でないところに彼の心がある。

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桑原盛行展
2017年9月1日(金)〜9月24日(日)
12:00〜19:00(最終日は17:00まで)
※注意!=金・土・日のみ開廊
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TS4312
東京都新宿区四谷三丁目12番地 サワノボリビル9階
電話03-3351-8435
http://www.ts4312r.com/
東京メトロ丸の内線四谷三丁目駅1番出口から新宿に向かって1分。セブンイレブンの隣のビル