ギャラリー現の伊藤純代展がいい

「新世代への視点2011」が始まった。ギャラリー現で取り上げたのは伊藤純代でとても良い。この現での個展は3回目になる。伊藤は1982年長野県生まれ、2007年に武蔵野美術大学大学院彫刻コースを終了している。



 今年東京都現代美術館で展示された「トーキョーワンダーウォール2011」で立体部門の大賞を受賞している。大賞に価する作品だ。
 伊藤の作る立体は若い女の子、少女というよりもう少し大きな娘だ。一見可愛く見えるが、よく見ると決して無垢な存在ではなく、むしろ危険なものを秘めているように見える。作品は発泡ウレタンと布で作られている。
 伊藤の作品は造形的に魅力があるが、それだけにとどまらず背後に作家の屈折があるように思えて、それが魅力をいやましている。作家のテキストから、

幼い頃に体験した行為は今の私に繋がっている。それは、心の奥底にある快楽であり恐怖でもあり言葉にしづらく、なかなか伝わらなくてもどかしい。幼い頃、なぜこの気持ちをわかってくれないのだろう、と思っていたが今はその気持ちが作品に繋がれば良いのではないか、と思う。

 新しい才能はいつも思いがけないところから現れる。いったい誰が人形の造形の先にこんな優れた作品が出現すると考えただろう。3回の個展をすべて見てきたが、毎回着実に洗練してきている。今後どのような展開を見せてくれるのか楽しみだ。
       ・
ギャラリー現の伊藤純代展「Another girl」(2010年10月2日)
       ・
伊藤純代展
2011年7月25日(月)ー8月6日(土)
11:30ー19:00(最終日ー17:00)日曜休廊
       ・
ギャラリー現
東京都中央区銀座1-10-19 銀座一ビル 3F
電話03-3561-6869
http://www.jpartmuseum.com/g_gen/