ギャルリー東京ユマニテbisの安田萌音個展「Vestiges」を見る

 東京京橋のギャルリー東京ユマニテbisで安田萌音個展「Vestiges」が開かれている(9月7日まで)。安田は1992年神奈川県出身。2015年に多摩美術大学日本画専攻を卒業し、2017年に同大学大学院博士前期課程絵画専攻を修了している。2016年にこの画廊で初個展、以来同じ画廊で今回が3回目の個展となる。

f:id:mmpolo:20190903165140j:plain

f:id:mmpolo:20190903165157j:plain

f:id:mmpolo:20190903165216j:plain

f:id:mmpolo:20190903165235j:plain

f:id:mmpolo:20190903165256j:plain

f:id:mmpolo:20190903165314j:plain


 画廊正面に大きな作品が2点並べられている。タイル様の矩形10個14段を規則正しく並べたものが2面だ。都合280個ある。左の壁にはもう少し大きな長方形が10個3段並べられている。右側の壁には大きな長方形が3枚。
 いずれも鹿沼土を使って成型し、表面の形はパソコンのイラストレーターを使って描いた図形をレーザーカッターで加工したものだという。とても美しくて驚いた。壁に簡単な履歴と展示歴が貼ってあるが、これもレーザーカッターで作ったものだという。タイトルのVestigesは「痕跡」、良い展示空間を作っている。
     ・
安田萌音個展「Vestiges」
2019年9月2日(月)-9月7日(土)
10:30-18:30(最終日18:00まで)
     ・
ギャルリー東京ユマニテbis
東京都中央区京橋3-5-3 京栄ビルB1F
電話03-3562-1305
https://g-tokyohumanite.com/

 

 

うしお画廊の石井紀湖展を見る

 東京銀座のうしお画廊で石井紀湖展が開かれている(9月7日まで)。石井は以前はギャラリー山口で発表していたが、山口が閉廊したあとはみゆき画廊で個展を開いていた。今回は久しぶりにうしお画廊での発表だが、うしお画廊はみゆき画廊が発展したものなのだ。
 作品は柱のような角材で窓のような形を作り、そこに「ノ」の字のような曲線的な角材を吊り下げている。それが3個並んでいる。いつも石井は門をかたどっていたが、それが窓となって風が吹き抜けているのだろうか。単純だが気持ちの良い立体だ。
 立体作品を囲むように抽象的な墨絵が壁に展示されている。今回のテーマが「墨絵・彫刻」となっている。
 写真は正面からと側面から撮ったものを載せた。

f:id:mmpolo:20190902225225j:plain

f:id:mmpolo:20190902225241j:plain

f:id:mmpolo:20190902225258j:plain

 DM葉書には予告として、11月25日からギャルリー東京ユマニテbisで、石井紀湖「森の迷宮」展が開かれると書かれている。
     ・
石井紀湖展
2019年9月2日(月)-9月7日(土)
11:30-19:30(最終日17:00まで)
     ・
うしお画廊
東京都中央区銀座7-11-6 イソノビル3F
電話03-3571-1771
http://www.ushiogaro.com/

 

無人島プロダクションの小泉明郎展を見る

f:id:mmpolo:20190831223848j:plain

 東京墨田区に移転した無人島プロダクション小泉明郎展:映像インスタレーションVR(ヴァーチャル・リアリティーインスタレーションが開かれている(8月31日まで)。
 映像インスタレーション「Battlelands」は、同時に2面のスクリーンを使っている。この作品では、小泉はイラク戦争アフガニスタン戦争で従軍して帰還したアメリカの退役軍人7人に協力をしてもらい、まず彼ら/彼女らに目隠しをし、GoRpoカメラを頭に装着してもらって、現在の住居や暮らしている街中で日常生活を言葉で描写してもらった。そして全く同じ場所で、今度は戦地でもっともストレスを感じた瞬間を思い出してもらって、それを描写してもらっている。戦争が日常と地続きに感じられる映像になっている。兵士たちの戦場での恐怖や現地の市民たちに与えた脅威が生々しく感じられる。
 VRインスタレーション「Sacrifice」は、バクダッドでイラク人の若者アハメッドに協力してもらい、家族や友人をアメリカ兵に殺された体験を語ってもらっている。アハメッドの頭にカメラを装着し、われわれ鑑賞者もヘッドセットを装着して見ることになる。それはあたかも自分がアハメッドになっているかのような体験だ。
 私は4年前に亡くなった友人ハムのことを思い出していた。たまに飯田市のバー夢二へ行くとハムを呼び出し、十数年前に亡くなった原和のことを話したのだった。アハメッドが亡くなった友人を偲んで腕に抱きしめるような仕草をしたように、原和を偲んでハムに抱き着いた。それをハムはいつも嫌がって、フナ(私)に会うと抱き着かれるから気持ち悪いと言っていた。そのハムが亡くなって原和が決定的に失われたことを感じたのだった。
 ハムや原和と共通の友人小池が亡くなったのが2年前だった。それによってもう原和のこともハムのことも語り合える友人がいなくなってしまった。3人が決定的に失われたことが確信された。

 

 無人島プロダクション

www.mujin-to.com

阿佐ヶ谷のけやき屋敷再開発

 東京の杉並区の中央線阿佐ヶ谷駅から100メートルほどの至近距離にけやき屋敷と呼ばれている大きな屋敷がある。敷地面積10,000平方メートル、約3,000坪、1辺100メートルの正方形に近い。ここが再開発で河北病院になるという。

f:id:mmpolo:20190828202003p:plain

f:id:mmpolo:20190828202026p:plain

f:id:mmpolo:20190828202054p:plain

f:id:mmpolo:20190828202122p:plain

 左隣に杉並第一小学校があるが、ここの敷地の3~4倍はありそうだ。右上に接しているのが河北病院で、河北病院がけやき屋敷に移り、杉並第一小学校が河北病院の跡地へ移動するらしい。

f:id:mmpolo:20190828202144j:plain

 当然反対運動が起こっているようだ。トトロはどこへ引っ越すのだろう? もう都内にはこんな立派な個人宅はないのだろうな。
 写真はGoogle地図から引用した。

 

 

詐欺師に会った

 たとうを求めて新宿の世界堂へ行ったが、注文して2週間かかると言われた。お茶の水の文房道へ行ったら3日間でできるという。それを注文してお茶の水駅まで戻った。暑い中坂道を登って行ったが、半分口を開けてぼうっとした顔をしていたのだろう。見知らぬ男から声をかけられた。
 〇〇ですと言われたが、その顔に見覚えがなかった。どちらですか? と訊くと、ナベちゃんの知り合いですよと言われた。ナベちゃんに心当たりがなかった。同時に昔も同じことを言われたことを思い出した。この男は詐欺師なのだと確信した。それでナベちゃんて誰ですか? と訊くと、人違いでしたと言って去って行った。
 以前詐欺師に会ったことをこのブログに書いたことがあった。調べるともう9年前になる。そのことを再録する。
     ・
 先日有楽町駅を出て銀座に向かって歩いていると、前から来た中年の男が、やあ、しばらくと言って笑いかけてきた。どちら様ですかと聞くと、中村ですよと言う。銀座あたりで親しげに振る舞う中村さんと言ったら美術家の中村昇さんしか思い付かない。中村昇さんかと思って顔をよく見ると、中村昇さんにしては微妙にずれる。目の前の顔と中村昇さんの顔とを同調させようとするのだが、うまくできない。当然だ、別人なのだから。どこでお会いしましたっけ? と問うと、ほら、ナベちゃんやコーさんと一緒にだよと言う。ナベちゃんて誰ですか? 渡辺さんだよ。下の名前は何ですか? ナベちゃんの名前何だったかなあ。どこでお会いしたんでしたっけ? ほら、あそこだよ、と本当に馴れ馴れしい。銀座あたりで大勢で会っているならと考えて、絵のコレクターの会ですか? と聞いた。そうだよ、そこだよ。コレクターの会というと、美楽舎か、あるいは「わ」の会だろう。どちらでも見かけた記憶がない。私はコレクターの会の皆さんとはあまり親しくないんですよ。そして、私の名前は曽根原ですけど(人違いしていませんか)と言えば、知ってるよ、曽根原ちゃんじゃないかとあくまで馴れ馴れしい。そして、そこらでちょっとお茶でもと誘われた。いや、これから少し用事があるもんですから。じゃあ、用事の後でここに戻ってこない? お茶飲みながら懐かしい話をしようよと言う。いや、この人と懐かしい思い出がないことだけは確信できた。いえ、何時に終わるか分からないのでと断ると、私は最近養子にいきましてねと話が変わった。今どき養子なんて恥ずかしいけどと言う。恥ずかしいことなど何もないですよ。まあ、相手のお母さんが金持ちで銀座に店を持っているんです。何の店ですか? 飲み屋や洋服屋などいくつも持っているんです。しかし、こんな風にどこまでも具体的な名前が出ない。そのお母さんが厳しい人で、私が変なことをやっていると知れたら、娘を返せと言われちゃうので内緒なんですが、北海道で馬の売買をやって儲けているんです。昨日も400万円儲かって、と言う。お金の話になったので私も警戒して、いや私はお金なんてないですよと逃げ腰になる。すると、持っていた大きな鞄のファスナーを開けて、ほらと、中の現金の束を見せられた。1万円札がぎっしり入っていた。さして親しくない相手に町中で唐突に現金を見せるなんて、これは怪しすぎると、じゃあ私はここでと逃げ出した。
 金が儲かるからと何かに投資させるような詐欺なのだろう。鞄の中の現金は詐欺師の教科書どおりの見せ金だ。あまり自信たっぷりなので、私が忘れてしまっているのではないかと思ってしまった。それにしても、自分からは何一つ具体的なことは言わないで、すべてこちらに話させている。お金の話にならなければ騙されたままかも知れない。まあ、こちらとの関係がうまく築けなかったので、急遽儲け話に振ったのだろう。その唐突さが不自然であったために危うく難を逃れたのだった。
     ・
 実は詐欺師からは今まで何度も声をかけられている。車が横付けして、窓から顔を出して話しかけてくる。展示会の帰りなんだけど、余った時計をやろうかと言う。私は何度も経験しているので、しらばっくれて頂いて良いんですか、悪いですねと言って手を伸ばす。すると、時計を持った手を引っ込めて、只ってわけにはいかないから少しお金をくれという。ブランド物の時計が1万円だという。私はここで要らないと言って車から離れていた。何度も経験したので、詐欺師からはカモに見えるらしいと自覚していた。
 会社の部下がそれに引っかかって、ブランド物の時計だというのを2個2万円で買ってきた。どう見ても中国製の安物で、せいぜい2個2千円がいいとこだろう。彼は、話題だと思ってと強がっていたが。