マテ茶と交差いとこ婚

悲しき南回帰線(上) (講談社学術文庫)
 若いころレヴィ=ストロースの「悲しき南回帰線」を読んで、南米インディオがマテ茶なるものを飲んでいることを知った。一度飲んでみたいと探したがなかなか見つからなかった。いまから35年も前なのだ。ようやく新宿小田急デパートで見つけたが、大袋しかなかった。それを買って飲んでみたら少しもおいしくない。若いころでお金がなく、マテ茶が好みでなかったからと言って別にコーヒーや紅茶を買う余裕がなかった。仕方ないので大袋のマテ茶を毎日飲み続けた。すると不思議なものでマテ茶がおいしくなったのだ。その嗜好はいまなお変わらない。
 そういえば小学生の時(50年前)初めてコカ・コーラを飲んで何というまずい飲み物と思ったのに、20歳くらいの時にはコカ・コーラにはまっていた。当時親しかった友人の三木良吉君(今はどこにいる?)がコカ・コーラにはまっていて、毎日それを何本飲んだか日記に書いていると言ったので、私も真似して書いていた事があった。大瓶を飲むのだが、それをレギュラーサイズの瓶に換算して毎日何本も飲んだと記録した。味覚の嗜好は慣れると変わるのだ。
 レヴィ=ストロースに戻ると、婚姻の法則として「交差いとこ婚」というのを見出した。世界に広く行われている婚姻の形態だ。男は母親の兄弟の娘と結婚する。同様に女は父親の姉妹の息子と結婚する。私の母親には兄弟が3人いたが、皆戦争で亡くなってしまった。一番上の兄だけが出征前に結婚して娘を得ていた。彼女は終戦直前に生まれている。交差いとこ婚に従えば私が結婚する相手はこの従姉になる。「悲しき南回帰線」を読んだ時は従姉はすでに結婚していたが、私の許嫁は彼女だったかもしれないと思って何か感慨深いものがあった。従姉は今もきれいだ。