ギャラリー鴻の「表層の冒険」を見る

 東京蒲田のギャラリー鴻で「表層の冒険」が開かれている(3月25日まで)。これは谷川渥企画の日本人作家47名の作品展で、副題に「抽象のイコノクリティック」とあり、抽象画の作家たちが選ばれている。

 会場のギャラリー鴻は片柳学園日本工学院専門学校東京工科大学)の講堂・ギャラリーでかなり広い。JR蒲田駅西口から徒歩2分とすぐ近くだ。

 知人の作品や気になった作品を紹介する。

野沢二郎

 

葛生裕子

 

滝田亜子

 

宇野和幸

 

笹井祐子

 

加藤健

 

小林良一

 

石井博康

 

上の作品の部分

上の作品の部分

駒形克哉

 

齋藤礼奈

 

谷村メイチン・ロマーナ

     ・

「表層の冒険」

2024年3月16日(土)―3月25日(月)

13:00-19:00(最終日15:30閉館)

     ・

ギャラリー鴻

東京都大田区西蒲田5-23-22

学校法人片柳学園12号館1F

 

eitoeikoのながさわたかひろ展を見る

 東京矢来町のeitoeikoでながさわたかひろ展「顔顔顔~東京編~」が開かれている(3月24日まで)。ながさわは1972年山形県生まれ、2000年に武蔵野美術大学大学院造形研究科美術専攻版画コースを修了している。2010年にart data bankで初個展、その後養清堂画廊、ギャルリー東京ユマニテなどで個展を開き、2010年からは神楽坂のeitoeikoで個展を繰り返している。

 ギャラリーのホームページより、

ながさわは東北楽天イーグルスの全試合を描いた『プロ野球画報』で 2010 年の第 13 回岡本太郎現代芸術賞特別賞を受賞したことが実質的に鮮烈なデビューとなり、 同作品は東京ヤクルトスワローズ優勝までの道のりを記録した連作へと発展しました。また連作版画『に・褒められたくて』では、人物画を様々な手法に展開し新たな芸術へと昇華しています。 本展では、この数年をかけて少しずつ描きためてきた作家の愛する文化人、芸能人を鉛筆、水彩、アクリルなどの肉筆で描いた肖像画を中心に発表します。 そしてこのたび、作品集『愛の肖像画 ながさわたかひろの冒険 2019-2023』を刊行しました。1001 枚の「ウィズコロナの肖像」全作品と40 作品あまりの肖像画、その奮闘の制作記録とともに収録しています。 会期中会場にて販売いたしますので、この機会にぜひお求めください。

 

 ながさわは似顔絵を描いたあと、それを本人のところへ持って行ってサインをもらって来る。サインと一言が入って作品が完成する。

 

武田砂鉄

 

塙宣之

 

高田文夫(左)と春風亭一之輔

 

水道橋博士(左)と神田伯山

 

近田春夫(左)と松村邦洋

 

菊地成孔

 

山下裕二(左)とピーター・バラカン

 

柄本明(左)と根本敬

 

頭脳警察

 

 

     ・

ながさわたかひろ展「顔顔顔~東京編~」

2024年3月9日(土)―3月24日(日)

12:00-19:00(月曜休廊)

     ・

eitoeiko

東京都新宿区矢来町32-2

電話03-6873-3830

http://www.eitoeiko.com

地下鉄東西線神楽坂駅矢来口より徒歩5分

 

 

上野の森美術館のVOCA展を見る

 東京上野の上野の森美術館で「VOCA展2024」が開かれている(3月30日まで)。これは「現代美術の展望―新しい平面の作家たち」というもので、全国の美術館学芸員、研究者などから推薦された40歳以下の作家31人が出品している。

部分

 

山下耕平

 

部分

大東忍:VOCA賞

 


佐々舜:VOCA佳作賞

 

上原沙也加:VOCA奨励賞・大原美術館

 

中山晃子

 

笹岡由梨子:VOCA佳作賞

 

部分

 

ウチダリナ

 

宮内裕賀

 

     ・

VOCA展2024

2024年3月14日(木)―3月30日(土)

10:00―17:00(会期中無休)

     ・

上野の森美術館

電話03-3833-4194

https://www.ueno-mori.org/

 

 

伊藤邦武『物語 哲学の歴史』を読む

 伊藤邦武『物語 哲学の歴史』(中公新書)を読む。新書という小冊子で哲学史を紹介するという難しい仕事を試している。結果的にそれは成功している。

 古代・中世の哲学から、近代の哲学=意識の哲学はデカルトから経験論とカントが語られ、20世紀哲学=言語の哲学として、論理学、分析哲学論理実証主義が比較的詳しく語られる。著者伊藤邦武はプラグマティズムの専門家なのだ。だが、最後の第4章は生命の哲学と題して、ジェイムズとベルグソンに次いで、ハイデッガーサルトルメルロー=ポンティとドゥルーズが取り上げられる。

 言語の哲学あたりは難解で、読んでいてちょっとめげそうになったが、ハイデッガーサルトルメルロー=ポンティ~あたりは比較的親しみ深い世界で分かりやすかった。ドゥルーズはまだ読んだことがないので分からない。

 こんな小冊子でヨーロッパ哲学が簡単に学べるのは、分析哲学論理実証主義に偏っているとはいえ、とてもありがたい。12年前に買っていてようやく読んだのだった。

 

 

 

コバヤシ画廊の荻原正人展を見る

 東京銀座のコバヤシ画廊で荻原正人展が開かれている(3月23日まで)。荻原は1953年東京生まれ、1979年東京芸術大学鋳金科を卒業し、1981年同大学大学院を修了している。

 今回の展示は3面の壁に同一の大きさの黒い平面が規則正しく並べられている。右側の壁面が2021年、正面が2022年、左側が2023年の新聞だという。それぞれ3月11日から4月9日までの30日間の朝日新聞の第1面を塗ったもの。上部の欄外の日付と、3.11に関する写真だけを除いて黒く塗りつぶしている。使っている鉛筆はドイツ製の9Bとのこと。すると3.11に関する写真だけが塗り残される。この3年間の3月11日から30日間に、朝日新聞の第1面に取り上げられた3.11に関する写真の量が一目瞭然に分かる。それがどんなに少ないかが分かる。荻原はこの作業を震災の当日の新聞から行ってきた。

2021年

2022年

2023年

2023年

2021年


 3.11から13年が経っている。年々当時への言及が減ってきているのがよく分かる。荻原はその事実をこんな展示で決して声高でなく告発している。優れた個展である、

 なお、空白の日は新聞休刊日とのこと。

     ・

荻原正人展

2024年3月18日(月)―3月23日(土)

11:30-19:00(最終日17:00まで)

     ・

コバヤシ画廊

東京都中央区銀座3-8-12 ヤマトビルB1F

電話03-3561-0515

http://www.gallerykobayashi.jp/