コバヤシ画廊の西成田洋子展「記憶の領域2014」を見る


 東京銀座のコバヤシ画廊で西成田洋子展「記憶の領域2014」が開かれている(10月11日まで)。西成田は1953年茨城県生まれ、1987年より東京、水戸、ニューヨークなどでもう30回以上も個展を開いている。作品は大きな奇妙な立体で、古着などを縫い合わせて造形している。
 昨年の個展を紹介した折り、次のように書いた。

 毎年同じように作っているらしいが、今年の作品は違っていた。まるで今までの作品が、今回の作品を産むための習作だったかと思えるほど、高い完成度を示している。ほとんど習作と完成品ほどの差が感じられる。作家が飛躍した瞬間が見られると言っても良いほどだ。






 そして今年は昨年の高い完成度を持続させて、いやさらに高めて、相変わらず変な造形を発表している。壁に取り付けられた左右2m近い立体、これは何なのだろう。一見象の頭部に似ている。しかし象の頭にしては左右は対称ではないし、長くあるべき鼻も折り畳まれているかのようだ。つまり、これは象ではない。タイトルは「記憶の領域」だ。すると、ゴチャゴチャして整理しきれない記憶を表現したものなのだろうか。
 そう思って見れば、もう一つの床に置かれた長さ3m近い立体も引きずるような記憶にも見える。
 西成田の造形の意味を解きほぐそうとしても、情報が少なくて解明するのは難しい。しかし、意味は不明でも、造形としての見事さが見る者を惹きつける。優れた達成だと思う。
 西成田は、近年ますますその表現を洗練させている。いうなれば大器晩成型の作家なのだろう。
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西成田洋子展「記憶の領域2014」
2014年10月6日(月)−10月11日(土)
11:30〜19:00(最終日は17:00まで)
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コバヤシ画廊
東京都中央区銀座3-8-12 ヤマトビルB1F
電話03-3561-0515
http://www.gallerykobayashi.jp/