流行の活字

 パソコンが普及してきて書体に影響が出てきた。モニター上では見やすさからゴチックが多く使われている。縦線と横線が共に太いので見やすいのだ。
 紙媒体では違っている。ダントツに多いのが明朝体だ。縦線が太く横線が細くてきれいだと思う。ゴチックだと紙媒体では紙面が黒くなりすぎてしまう。ただモニター上では横線が細いのでちょっと見づらくなってしまう。
 日本の紙媒体では圧倒的に明朝体だが、これが中国では宋朝体だという。かの毛沢東語録ももちろん宋朝体だった。日本では宋朝体を見かけるのは凝った名刺くらいだった。ただ横書きにすると字間が空いてパラパラしてしまう。
 字間がパラパラすると言えば、写植版下の特徴は活字では不可能だった字間を詰める組み方で「詰め打ち」と言った。バブルの頃リクルートコスモスのPR誌は1冊丸ごと字間を標準以上に開ける組み方をしていて独特だった。ページ全体が白いのだ。しかし読みやすいということはなかったし、ユニークな組み方だという以上の評価はなかったと思う。