コバヤシ画廊の服部繭展を見る

 東京銀座のコバヤシ画廊で服部繭展が開かれている(5月14日まで)。服部は福島県生まれ、日展審査員伊藤応久、芸術院会員織田廣喜、フランスのポール・アンビーヌに師事している。1984年にル・サロン初入選、1991年兜屋画廊で初個展、その後ギャラリーなつかで個展を繰返し、2009年よりコバヤシ画廊で個展を続けている。

 今回9枚のキャンバスを並べている。それは1点の作品に見えるが、画廊に搬入してからこの配置を決めたという。


 私は2001年以来、去年を除いて毎回服部の個展を見てきた。優れた抽象画家だと思う。毎年向上していて、特に近年ひと皮剝けた印象だ。

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服部繭展

2022年5月9日(月)―5月14日(土)

11:30―19:00(最終日17:00まで)

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コバヤシ画廊

東京都中央区銀座3-8-12 ヤマトビルB1

電話03-3561-0515

http://www.gallerykobayashi.jp/

 

 

高島屋日本橋本店美術画廊Xの重野克明展を見る



 東京日本橋高島屋6階美術画廊Xで重野克明展「新作猫画展 あそぼうよ!」が開かれている(5月23日まで)。重野は1975年千葉市生まれ、2003年に東京藝術大学大学院修士課程美術研究版画専攻を修了している。主に77ギャラリーで個展を開いているが、高島屋美術画廊Xや養清堂画廊でも発表を繰り返している。

 今回は猫画テーマだ。8年前庭先で白い子猫を拾って飼い始めた。「やがて月日は流れ飼い猫は数匹に増え、なんだか庭にも子猫が沢山集まってくるぞ。多すぎる! どなたか猫飼いませんか」と書いている。

僕ルドンと言います、あそぼうよ

捕獲の朝

WA!

tapesutori-


 重野の作品は楽しい。作品は私生活を色濃く反映している。また物語を秘めてもいる。そのような重野の方向は独自のもので、貴重で素晴らしい試みだと思う。重野はもう自在に自分の世界を構築している。

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重野克明展「新作猫画展 あそぼうよ!」

2022年5月4日(水)―5月23日(月)

10:30-19:30

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日本橋高島屋本店6階美術画廊X

電話03-3211-4111(代表)

 

 

 

ガルリH(アッシュ)の飯島祐奈展を見る

 東京日本橋小舟町のガルリH(アッシュ)で飯島祐奈展「石があった場所」が開かれている(5月21日まで)。飯島は1995年東京都生まれ、2018年女子美術大学芸術学部美術学科立体アート専攻卒業、2021年同大学大学院美術研究科博士前期課程美術専攻立体芸術研究領域を修了している。2020年、「第3回いりやKOUBO」大賞を受賞し、2021年いりや画廊で初個展の「第3回いりやKOUBO大賞受賞者作品展」を開き、同年ギャルリー東京ユマニテbisで個展をしている。今回が3回目の個展となる。

 飯島は石の中心を削り〇や□の穴を開ける。その穴から向こうが見える空間を「石があった場所」と呼ぶ。今回の個展のタイトルの所以だ。

 床に置かれた大きな円形の作品と立てられている四角な作品が御影石で、その他は大理石でできている。特に大理石を円形に造形した作品は本当に石かと面白かった。

支えが必要な〇(大理石、石灰岩


 大学院を修了して2年間で3回の個展を開催するという恵まれた出発をしている。それだけ人気があるのだろう。

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飯島祐奈展「石があった場所」

2022年5月8日(日)―5月21日(日)

12:00-19:00(最終日17:00まで)月曜休廊

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ガルリアッシュ galerie H

東京都中央区日本橋小舟町7-13東海日本橋ハイツ2F

電話03-3527-2545

https://galerie-h.jp

東京メトロ銀座線・半蔵門線 三越前駅A1・B6出口から徒歩5分

 

ギャラリーGKの柴田和「入札展示会」を見る

 東京銀座のギャラリーGKで柴田和「入札展示会」が始まった(5月14日まで)。柴田は1934年生まれ、帝国美術学校(武蔵野美術大学の前身)を卒業。1960年代、美術グループ乱立の時代はネオ・ダダのメンバーらとも一緒に活動していた。1963年、最後の読売アンデパンダン展で出品拒否を受ける。翌年から空間創りを街中に移し、環境美術の提唱者となる。しかし、大阪万博前後から渓流釣りのフライフィッシングにのめりこんでいく。それが20年前後も続いた。その間もデザインと設計建築の会社を経営し、シバ・アートというギャラリーも開いていた。しばらく作品の発表からは遠ざかっていたが、ここ10年来再び都内のいくつもの画廊で個展を始めている。

 今回は入札展示会という形式で、55点を展示している。それぞれ、スタート料金は3,000円~、5,000円~、最高が28,000円~となっている。すべて2021年制作の新作だ。柴田の年齢(87歳)を考えるとこれは大したことだと思う。

 立体の小品はソーラーパネルを使っていて、天井の照明が壁面に反射して、その光を受けて支持体に組み込まれたライトが点滅するという代物。俺はテクノロジーは嫌いだなどと言いながら、こんなハイテク作品を作っている。

ソーラーパネルを組み込んだ立体作品



 繰り返すが、柴田は満87歳という後期高齢者なのだ。

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柴田和「入札展示会」

2022年5月9日(月)―5月14日(土)

12:00-19:00(最終日16:00まで)

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ギャラリーGK

東京都中央区銀座6-7-16 第一岩月ビル1階

電話03-3571-0105

http://gallery-gk1.jimdo.com

 

東京画廊+BTAPの朴栖甫展を見る

 東京銀座の東京画廊BTAPで朴栖甫(Park Seo-Bo)展が開かれていた(5月7日まで)。ギャラリーのホームページより、

 

朴栖甫(Park Seo-Bo)は1931年、韓国の慶尚北道醴泉生まれ、1954年に弘益大学美術学部絵画科を卒業し、モノクロームの線画や韓紙の質感を活かした作風を発展させました。韓国現代美術の先駆的存在であり、単色画(Dansaekhwa)を代表する作家です。(中略)

初期の作品では、まだ乾いていない単色の絵の具の表面に鉛筆の線画を描いていましたが、後期の作品では、韓国の伝統的な和紙である韓紙を重層的に用い、指や器具で表面に縦線を入れて幾何学的な起伏を作ります。こうして生まれる形態や色彩の限定性はミニマルアートを思わせるものですが、「描く」ことを通じて反復的行為を写し取ってゆくその作品は、西洋のコンセプチュアル・アートとは異なる経路を通じて、ある精神性へと至る試みと言えるでしょう。

 


 韓国の現代美術の主流である単色画の画家だ。単色画とはやはりミニマル・アートの一種だろう。単純な形態で色彩も名前の通り単色だ。だが、ミニマルでありながら、ミニマルに徹していない。画面に変化を付けている。

 ミニマルに徹するのは難しいのかもしれない。何もしないのは作品にならないと思ってしまうのだろうか。そのあたりは難しいところだ。

 なお、画像は東京画廊のホームページから借用した。

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朴栖甫(Park Seo-Bo)展

2022年3月26日(土)―5月7日(土)

12:00―18:00(日・月・祝 休廊)

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東京画廊BTAP

東京都中央区銀座8-10-5 第4秀和ビル7階

電話0 3-3571-1808

https://www.tokyo-gallery.com/