吉田秋生「真昼の月ーー海街diary2」

 久しぶりに本屋のコミックコーナーを覗いたら吉田秋生「海街dairy」の第2巻「真昼の月」(小学館)が先月発売になっていた。第1巻「蝉時雨のやむ頃」が出たのが昨年の5月で、続編を待ち望んでいた。これは吉田秋生の日常への回帰ともいえるコミック、鎌倉を舞台とした4人姉妹の物語。「BANANA FISH」とか「YASHAー夜叉ー」といったヒーローものから、家族の物語へ帰ってきた。その「あらすじ」から

鎌倉に住む三姉妹のもとに、幼い頃母と離婚して出ていった父の訃報が届いた。15年も会っていない父の死に、なんの感慨もわかない佳乃と千佳。葬式に向かった姉妹は山形で腹違いの妹・すずと出会う。葬式の後、三姉妹から一緒に暮らさないかと誘われたすずは、姉たちと暮らすことを決意。鎌倉での新しい生活に、ようやく慣れてきたが…。

 長女幸は看護婦で妻のいる医者と付き合っている。次女佳乃は信用金庫に勤め酒癖が悪い。三女千佳はスポーツ用品店の店員。すずは中学生で地元サッカーチームに属している。そして家族の切ない話が語られていく。
 以前「Hanako」に連載した「ハナコ月記」で吉田秋生を初めて知って、「櫻の園」「BANANA FISH」「河よりも長くゆるやかに」「YASHAー夜叉ー」「吉祥天女」等々読んできた。
櫻の園」は1990年と今年の2回、中原俊監督によって映画化されている。私立女子高の演劇部が卒業記念公演でチェホフの「桜の園」を上演する話。成就しない同性愛が絡んでちょっとはまった。
 「ハナコ月記」は20年前に創刊された「Hanako」に連載されたもの。隔週刊の雑誌にしりあがり寿だったか江口寿だったかと交代で連載していたので月に1回の掲載、それで「月記」だった。吉田秋生が描いていた号だけ買っていた。アンナミラーズというカフェの存在を知ったのもこのマンガでだった。それに興味をもってすぐに1回だけ行った。
 吉田秋生をはじめ近年女性漫画家に良い作品が多い。魚喃キリコの「ハルチン」とか、大島弓子の「グーグーだって猫である」、南Q太樹村みのり等々。