エチケットを云々する

 私がエチケットについて云々するのは噴飯ものだとは思うが、ひと言。男のスーツなど上着のボタンの着脱について。単純なことだがボタンは座っているときは外し、立ったときにははめるのが原則だ。これが案外守られていない。むしろ知られていないのではないかと思う。私は日本の男性のことを考えて発言している。
 テレビでイギリスのブレア首相を見ていたら車から降りながら上着のボタンをはめていた。以前中国の江沢民首相が宮中晩餐会に出席したときのニュース映像を見ても、ちゃんと立ちながらボタンをはめている。座っているときは外していたのだ。江沢民も(ボタンの着脱を)やっているよと言うと、カミさんがあんたは中国の人を馬鹿にしてるんじゃない、あんたよりずっと教養があるのよ。いや一言もない。
 エチケットなんてどうでもいいという考え方もある。ジャズピアニストの山下洋輔のエッセイを読んでいたとき、ドイツのレストランで茹でたジャガイモをナイフとフォークで食べたら、ドイツ人の友人からジャガイモを食べるときにナイフは使わないでフォークだけで食べるよう言われた。俺の自由だろというと、ジャガイモを食べるときナイフを使うとテーブルマナーを知らないと軽蔑されるんだ。僕は友人が軽蔑されるのが嫌なんだ。