奈倉有里『ロシア文学の教室』(文春新書)を読む。ロシア文学者の沼野充義が毎日新聞に書評を書いていた。
著者は最近活躍が目覚ましい新世代のロシア文学者。本書は斬新なロシア文学入門書であると同時に、さわやかな学園青春小説でもある。というのも、2022年の春、都内のある大学で行われたロシア文学の授業を追った「文学講義小説」の体裁を取りながら、講義に並行して、受講する学生たちの友情や恋愛も描き出しているからだ。(中略)
本書は全12講の構成で、ゴーゴリ、プーシキン、ゲルツェン、ドストエフスキー、レールモントフ、ゴンチャロフ、ツルゲーネフ、ネクラーソフ、チェーホフ、ゴーリキー、ガルシン、トルストイを1講につき1人ずつ扱い、全体として19世紀初頭から20世紀初頭までのロシア文学の名作(小説・詩・戯曲)を取り上げている。(中略)
実際の大学の授業が文学史的知識や批判理論に偏りがちなのに対して、本書はあくまでも読書の喜びの原点に立ち返ろうとする、貴重な試みになっている。
本書は沼野の紹介するように学園青春小説という体裁をも採っている。先生による講義も語られるから講義+小説という構成だ。この小説部分がかったるい。その小説部分に大分割かれているから、講義の部分も中途半端だ。
小説仕立てなどやめて、ストレートにロシア文学講義をこそ読みたかったのに。講義部分に限っていえば、なかなか面白かったのに。『文学界』に1年間連載したというので、結構分厚くなっている(377ページ)。
沼野充義の書評も内輪褒めのきらいがあるのではないか。
