井波律子『「三国志」を読む』(岩波現代文庫)を読む。曹操、劉備、孫権や諸葛孔明、関羽、張飛などが活躍する陳寿が書いた『三国志』、巷ではそれを翻案した『三国志演義』が有名だ。本書は正史としての『三国志』と、裴松之の注を、漢文、読み下し文、解説で分かりやすく紹介している。実際に井波が4回の講演で語ったものを元に書籍化している。
橋爪大三郎が毎日医新聞で紹介していた。
後漢末期、宦官(濁流派)と官僚(清流派)が争い、道教系太平道が黄巾の乱を起こした。曹操、孫権、劉備は兵を率い乱を鎮圧、魏、呉、蜀が鼎立した。結局、魏を倒した西晋が全土を統一。陳寿はその西晋の役人で、公平な歴史記述が光る。(中略)
二千年も昔のテキストが著者の手にかかると、血の通った人間ドラマとして眼前に生き返る。古典が豊かな人智の宝庫だと気付かされる。そんな21年前の旧著が、岩波現代文庫版で甦った。優れた中国文学者の温かな人柄が伝わる好著である。
著者は2020年に76歳で亡くなっていて、後書きは夫君が書いている。初版は岩波セミナーブックスとして2004年に発行された。その時、書評で評判が良かったので読んでみたいと思ったことを覚えている。21年経ってようやく読んだのだった。
