ヒノギャラリーの松本陽子展を見る

 東京八丁堀のヒノギャラリーで松本陽子展「私的植物図鑑」が開かれている(6月14日まで)。松本陽子は東京生まれ、1960年東京藝術大学油画科を卒業している。1991年に国立国際美術館で個展を、2005年に神奈川県立近代美術館鎌倉で二人展、また2009年に国立新美術館でも二人展を開いている。

 ホームページに松本の言葉が紹介されている。

(2023年)5月のヒノギャラリーでの個展のときもそうだったけれど、近作の画面にブルーの筆触がよく認められるようになった。それはウルトラマリンディープのような深いブルーではない。明るく華やかなコバルトブルーペール、いってみれば地中海ブルーだった。

ピンクのアクリル画にせよグリーンの油彩画にせよ、私の作品において、ブルーはけして見過ごしてはならない存在である。絵画空間を軽やかにも厳かにも変容させる底知れぬ力がこの色彩に備わっていることを、私は長い画歴のなかで体得していた。

近作では、ピンク、グリーン、ホワイトの画面にコバルトブルーが一層目立って現れた。あらゆる境界を超えて顕出した色。この色彩が持つ魔術のような力に操られ、私はごく自然とブルーを主色にした制作をはじめた。



 松本は会期中に89歳の誕生日を迎えるという。そんな高齢とはとても思えない激しい絵画だ。昨年はロンドンのギャラリーでも個展が開かれたという。

 2年前に開かれた東京都現代美術館のコレクション展で次のように紹介されていた。

(……)作者はカンヴァスを床に平らに置いて、その四方から薄く溶いた絵具を撒き、拭き取り、再び絵具やメディウムを擦り込んでいく。絵具は透明感が生かされ、その物質性は強調されない。(中略)松本陽子は、マティスやフランケンサーラーといった色面の広がりを重視する作品を咀嚼し、一貫して独自の抽象絵画を描き続けてきた。しかしその作風は中国南宋時代水墨画牧谿のような、充溢する湿潤な大気を描いた東洋絵画の系譜にも連なっている。

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松本陽子展「私的植物図鑑」

2025年5月17日(土)-6月14日(土)

11:00-18:00(日曜日休廊)

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ヒノギャラリー

東京都中央区入船2-4-3 マスダビル1階

電話03-3537-1151

http://www.hinogallery.com

※JR線・地下鉄日比谷線「八丁堀」駅A2番出口より徒歩5分

地下鉄有楽町線新富町」駅7番出口より徒歩5分