上野東照宮のぼたん苑を見る

 東京上野の上野東照宮のぼたん苑で春のぼたん祭が開かれている(5月6日まで)。ちらしによると、110種500株以上の牡丹が咲き誇っているという。このぼたん苑に入るのは30年ぶりだろうか。でも昔のことは覚えていない。



 深紅、白、黄色、紫、ピンク、さまざまな色の花が咲き誇っている。牡丹こそ花の王様だと言いうるのではないか。若いころ私は桜こそが花のトップだと思っていた。その後、いやバラではないかと思ったり、小さなスミレに心を移したこともあった。しかし、老年になってやはり花の王者は牡丹だと思うようになった。複雑な花びらが作る豪華な花の形、花の大きさ、色の変異等々。

 さて、見事なぼたん苑だったが、少々不満もあった。ぼたんの丈が小さかった。株も小ぶりで大きくない。これらは冬ぼたんを見るために小さく仕立ててあるのだろうか。元来ぼたんの丈は1メートル50センチくらいはあって、それなりに大きな株になり、1株に10~20輪の花が咲いているものだろう。

 生まれ育った家にもぼたんは10株くらいあり、いずれも大きな株だった。隣の旧家の庭には100坪以上のまさにぼたん園があった。ぼたんは花が大きいのだから、株も樹高もそれなりに伸ばして、そこに花咲かせるのが自然な姿ではないだろうか。

 高校でお世話になった矢島渚男のぼたんの句。

 

崩落の牡丹の蕊に紅残す

 

 牡丹は散る時、次々と花弁を落とし、最後に蕊(しべ)が残っている。その蕊に紅の色を見つけてこう詠んだのだろう。矢島渚男は初老の女性に色香を見ている。色っぽい句だと思う。