フィリップ・K・ディック『高い城の男』を読む

 フィリップ・K・ディック浅倉久志 訳)『高い城の男』(ハヤカワ文庫)を読む。第2次世界大戦でアメリカなど連合国が敗れ、日独など枢軸国が勝った世界を描いている。世界は日本やドイツが支配している。アメリカの西海岸は日本の支配する国になり、ソ連はドイツの植民地になっている。60年以上前に発表されたフィリップ・K・ディックの代表作の一つ。

 まだこの有名なSFを読んでいなかった。ディックでは、『アンドロイドは電気羊の夢を見るか』や『流れよわが涙、と警官は言った』などが印象に残る。どちらも40年以上前に読んだものだ。

 さて、久しぶりに読んだディックは期待外れだった。日米の勝利の逆転といえば、いろいろ面白い出来事が想像されるはずだが、それがもっと卑近なエピソードばかり語られている。卑近なエピソードは逆転したSF世界のリアリティをもたらしてくれる。作品作りには欠かせない手法だろう。しかし、日米の勝利が逆転したら、もっと大きな事件がたくさんあるはずだ。せっかくの題材が小さな話になってしまった。期待が大きすぎたのだろうか。

 スタニスワフ・レムアメリカSFを小馬鹿にした理由が分かる気がした。