井上寿一『新書 昭和史』を読む

 井上寿一『新書 昭和史』(講談社現代新書)を読む。昭和史が好きだからつい手あたり次第読んでしまう。細部のエピソードが数多く拾い上げられている。そんなこともあってか378ページと新書としては分厚い。

 一方、節目となる事件が簡単にしか触れられていない。バランスが良くない印象だ。

 「あとがき」を詠んだら、次のように書かれていた。

 いつの頃からかスティーヴン・キング『ザ・スタンド』の群像劇のような構成の歴史書を書きたい気持ちになっていた。数年前、コロナ禍下、本を読む時間が増えた。専門書だけでなく、小説からも学ぶところが多かった。なかでもミン・ジン・リー『パチンコ』の4世代にもわたる年代記に魅了された。いよいよ書きたくなった。

 

 「群像劇のような歴史書」を目指したのなら失敗だった。読み物のような中途半端な歴史書、どんな歴史を語りたいのかの骨があやふやな歴史書という印象だった。

 履歴を見ると、専攻は日本政治外交史となっている。学習院大学学長などを歴任とある。昭和史を語るのに適任というわけではなかった。

 自分の本棚を見たら、未読の『戦争調査会』(講談社現代新書)があった。これも井上寿一だった。

 なお、些細な校正ミスの指摘を。「バリゲート」は「バリケート」の誤り(p.257)。