ギャラリーなつかの母袋俊也展を見る

 東京京橋のギャラリーなつかで母袋俊也展≪TA・ENTSUUJI≫が開かれている(2月22日まで)。母袋は1954年長野県生まれ、1978年東京造形大学美術学科絵画専攻を卒業している。1983年フランクフルト美術大学/シュテーデルシューレR・ヨヒムス教授に学ぶ。1987年帰国。1999年からここギャラリーなつかで個展を開き、今回が13回目になる。ほかに小諸高原美術館奈義町現代美術館、東京造形大学附属美術館、原爆の図丸木美術館などでも個展を開いている。

 母袋のテキストから、

今回は〈TA〉系の同一テーマでの新作の発表である。1999年に描いた《TA・ENTJI》の新作として制作される《TA・ENTSUUJI》の発表であり、展覧会タイトル副題「〈TA〉系 円通寺 再試行 1999→2024 」はそれを示している。

横長フォーマート、偶数連結、余白が横に反復される〈TA〉系の多くは、風景をモデルとするが、出品作《TA・ENTSUUJI》は京都 円通寺比叡山を借景とする書割り的空間をモデルとしている。

円通寺の室内から庭を眺めると背後に比叡山が柔らかいラインをつくり横たわっている。

暗い室内に正座、強い光の借景庭園の外界を見ると、室内の黒い柱と呼応するように庭を隔てる生け垣に垂直に立つ檜、さらに庭外の檜へと垂直の柱は後退していくかのようにも見える。

そして生け垣、藪、竹林などが直行する視線と交差する書割りの様に平らな薄面が幾重にも重なり、徐々に退いていくように感じられ、絵画の平面性と正面性を強く意識させるのだった。

1999年円通寺の借景空間をモデルに描いた《TA・ENTJI》は、普遍を求めようとするからか具体的形象性を抑制、抽象性高い画面の成り立ちを示していた。その横長フォーマート180×630㎝(10枚組)は4枚目と5枚目を境とし、画廊空間2面の壁面に屈曲展示が試みられた。当時銀座にギャラリーなつか があった時代のことだ。

そして本展では、改めて円通寺に取材。

視覚体験を重ね、同一フォーマートを8枚組に改編、タイトルも8枚組に合わせて8文字《TA・ENTSUUJI》と改名、再び新作での屈曲展示を京橋に移ったギャラリーなつか の空間で試みることになる。同一空間ではプランドローイングを展示。

別室では1999年のインスタレーション写真など資料も開陳する。

 



 私は母袋のなつかでの13回の展示はすべて見てきた。しかし、母袋の展示は難しい。作品は一見風景画に見えるから、具象的な絵画だと思って見てしまう。ところが母袋の作品は単純な絵画などではなく、風景を素材とした平面における空間構成と言うべき作品なのだと言いたいが、あまり自信はない。

 単純な風景画と何が違うのかというと、母袋は風景の再現に主眼を置いていない。テキストにあるように空間の構成の試みなのだ。いや、私もよく分からないままに書いている。実際に作品の前に立って見てみてほしい。

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母袋俊也展≪TA・ENTSUUJI≫―〈TA〉系円通寺 再試行 1999―2024―

2025年2月8日(土)-2月22日(土)

11:00-18:30(土曜日17:00まで)日曜・祝日休廊

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ギャラリーなつか&Cross View Arts

東京都中央区京橋3-4-2 フォーチュンビル1F

電話03-6265-1889

http://gnatsuka.com/