出久根達郎『本の身の上ばなし』を読む

 出久根達郎『本の身の上ばなし』(ちくま文庫)を読む。出久根達郎は元古書店主で直木賞受賞者。達者な筆致で古書業界を語るエッセイが面白い。本書は『日本経済新聞』の2019年から2020年の土曜日に毎週連載されたものをまとめている。本文庫で毎回4ページの文章に南伸坊のイラストが1ページという構成。南伸坊は取り上げられた人物の似顔絵を描いている。新聞の小さなコラムなので、それほど深掘りされていないが、凝縮した文章で興味深いエピソードを紹介している。

 湯浅真沙子の歌集『秘帳』より短歌2首

 

灯を消して二人抱くときわが手もて握るたまくき太く逞し

握りしめわがほどのへに当てがいて入るればすべてを忘れぬるかな

 

 出久根は「たまくき」は玉茎、「わがほどのへ」は「わがほとのへ」が正しいと言う。湯浅真沙子については素性不明という。

 戦前すでに林あまりの先輩がいたのだった。

林あまりの短歌

https://mmpolo.hatenadiary.com/entry/20120410/1334005732