マリオ・バルガス=リョサ ほか『ラテンアメリカ五人集』(集英社文庫)を読む。
本書には、ホセ・エミリオ・パチェーコ「砂漠の戦い」、マリオ・バルガス=リョサ「子犬たち」、カルロス・フエンテス「二人のエレーナ」、オクタビオ・パス「白」「青い花束」「正体不明の二人への手紙」、ミゲル・アンヘル・アストゥリアス「グアテマラ伝説集」が収録されている。
巻末に豊崎由美が「『子犬たち』鑑賞エッセイ」を載せているが、そこで豊崎は、数あるバルガス=リョサの傑作長編よりも「子犬たち」こそが自分にとってのエバーグリーンだと言う。「(……)冒頭の一文を読むだけで、条件反射のように胸がいっぱいになってしまう。そのぐらい好きな一篇なんです」と。
本書に収められた5人の7短篇のうちでは私も「子犬たち」が最も印象に残った作品だった。ついでパチェーコの「砂漠の戦い」で、オクタビオ・パスの面白さは本書収録の短篇からは分からなかった。
ラテンアメリカ文学はほとんど読んだことがなかった。それでも、ガルシア=マルケス『落葉』『族長の秋』、プイグ『蜘蛛女のキス』、バルガス・リョサ『緑の家』『嘘から出たまこと』、ボルヘス『砂の本』、ルルフォ『ペドロ・パラモ』などを持っていて、いずれも未読だ。『お落葉』などは43年も前に購入しているのに。