東京原宿のBLUM & POEで上田勇児展が開かれている(4月28日まで)。上田は信楽を拠点として活動している陶芸作家。ギャラリーのホームページによると、
上田の陶芸作品はみなぎる活気と動的なエネルギーを捉えており、今にも破裂しそうなその形体や、多種多様な色彩は、形成する過程での瞬間が凍りついたようにその一瞬が記憶されています。ざらっとした、あるいはひび割れた陶片が剥がれ落ち、それとは全く異なる粘土質の本体が亀裂の間から顔を出している作品の様子は、あたかも焼き物の制作過程自体を体現しているかのようです。剥離した大きな器、脱皮する球体、滴り落ちるような形状の陶、ブロンズから成る彫刻といった作品群の数々には、陶という素材を創造的に探求する作家の姿勢を体現するように、その革新的「景色」を見ることができます。
(中略)
上田の造形は、一見表現的ながら、技術的、且つ歴史的といえます。信楽焼の豊かな歴史の上に、土を用いて築き上げられたその独特の抽象性は、爆発的でダイナミックな造形や土や釉薬の実験法を経て、信楽の伝統がおのずとたどり着いた結果と言えるでしょう。これらの作品は、外部に溢れ出る、あるいは内部で崩壊するような錯覚を生み出し、欠陥そのものに存在する美を強調しているのです。
大きな壺は重さ80kgもあるという。大胆な造形で破調を恐れないと言おうか。とても主張が強い作品だ。ふと、以前サントリー美術館で見た楽家15代展を思い出した。楽焼の初代長次郎から現代の15代までの茶碗を1碗ずつ並べていた。初代以降は皆先代に負けない物を作ろうと工夫している。するとそれはシンプルなものとは逆の方向に走ることになる。造形は徐々にだがあざとくなっていく。代を重ねるごとに作品は良くなくなっていく。
今回の上田勇児の作品にもそのあざとさを感じた。私には評価できない造形だった。
・
上田勇児展
2023年3月25日(土)-4月28日(金)
12:00-18:00(日曜・月曜・祝日休み)
・
BLUM & POE
東京都渋谷区神宮前1-14-34 原宿神宮の森5F
電話03-3475-1631