東京谷中のHAGISOで大川祐展「私たちの傍にあるもの」が開かれている(9月11日まで)。大川は1970年東京生まれ、2003年から3年間ギャラリイKで個展をし、その後数カ所のギャラリーで個展を開き、2013からと2016年までSTORE FRONTで、2018年にはスイッチポイントギャラリーで個展をしてきた。
今回、大川は段ボールの切れ端みたいなものを展示している。大川が書いている。
私たちはロシアとウクライナの戦争から繋がっているのに対立しているという矛盾した経験をしている。
これはどういう意味だろう。
グローバル社会を経て、物資の流通が以前より密接になり
我々の生活は見えないお互いに囲まれて生活していることを知ることになる。
今回段ボールを使った絵画作品をHAGISOの空間に展示する。
A地点からB地点を繋ぐ段ボール。そこには様々な情報が書かれている。まるで暗号のようだ。
この見えないお互いを繋ぐ暗号は相互に了解しないと成立しない。
段ボールと戦争。一見遠い関係だが、我々の生活と密接に関係していることが次第にわかって来た。
誰かと誰かが繋がらないと物は運ばれない。
運ばれることから機能を終えた段ボールは我々に何を語ってくれるのだろうか。
なるほど、段ボールの切れ端は、通販などで使われた段ボール箱の一部だった。大川は現実に流通に使われた段ボール箱を選び、その一部を破り取って作品としている。おそらく選ばれた切れ端は大川によって注意深く選ばれているのだろう。段ボールの一部を破り取って作られた作品は、一見そう見えてもレディーメイド(既製品)ではない。作為の痕跡が小さくても、大川の意図がはっきりと表れている。
なかなか尖がった緊張感のある作品だった。
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大川祐展「私たちの傍にあるもの」
2022年8月17日(水)―9月11日(日)
12:00-20:00
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HAGISO
東京都台東区谷中3-10-25 HAGISO
※JR日暮里駅から夕焼けだんだんを降り、坂下を左折、岡倉天心記念公園の前