藍画廊の吉田絢乃展を見る

 東京銀座の藍画廊で吉田絢乃展「territory」が開かれている(8月6日まで)。本展は「画廊からの発言 新世代への視点2022」の一環。吉田は1987年東京生まれ。2011年多摩美術大学造形表現学部造形学科を卒業し、2013年同大学大学院修士課程油画領域を修了している。大学在学中からグループ展に参加し、卒業後は藍画廊の2人展のあと、2013年にゆう画廊で初個展、2016年に藍画廊で2回目の個展、2020年にヒデハル・フカサク・ギャラリー六本木で4回目の個展、そして今回の個展になった。

 不思議な作品が展示されている。画廊の方に作品の意味を聞いたらとても興味深いものだった。作品は吉田の祖母の家の家具や祖母の愛用品を取り上げてそれをコラージュのように組み合わせている。パンフレットに書かれた作家の言葉、

 

日本では長く使われてきたものには魂が宿ると伝えられています。人が存在していた部屋や使用していた家具、そこに残る体温や匂い、使い込まれたことによってできた傷や汚れなど行動の痕跡は持ち主の個性や歴史を想起させます。

 

蛍光灯と箪笥などが組み合わされている

掛時計、トランジスタラジオ、踏み台の組み合わせ

ドアノブ、ハンガー、電話機、火鉢の組み合わせ

台所の窓に襖の水墨画を組み合わせている


 吉田の展示を見て、30年近く前に代官山だったかにあった同人会アパートが壊されるとき、現代美術作家たちがそこで展示をしたことを思い出した。作間敏宏は、老婆が住んでいた部屋をそのまま利用して、敷かれた布団や卓袱台、棚、押し入れなどに数多くの5ワットの電球を設置した。それは私のような無神論者にもアニミズムの存在を実感させた。

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吉田絢乃展「territory」

2022年7月25日(月)―8月6日(土)

11:30-19:00(土曜18:00まで)日曜休廊

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藍画廊

東京都中央区銀座1-5-2 西勢ビル3階

電話03-3567-8777

http://igallery.sakura.ne.jp/