東京銀座のうしお画廊で大沢昌助展「具象・抽象」が開かれている(2月26日まで)。大沢昌助没後26年だという。今回は水彩や版画など小品が多い。初期から晩年まで多彩な作風が見られる。出品者は息子の大沢泰夫さん。彼が愛蔵する作品(油彩画、水彩画、版画等)のなかから選んでいる。
帰宅してDM葉書を机の上に置いておいたら娘が見て、この画家誰? なんか懐かしい感じがする、と言う。大沢昌助っていう有名な画家だよ。いつぐらいの人? 亡くなって26年だって言うからだいぶ昔の人だよ。知らない人だけど懐かしい感じがするんだ。そう言ってスマホで何やら調べ始めた。そして、ほらこの絵に似ていない? と差し出したのは村上春樹の初期の作品の表紙だった。娘はGoogle LensでDM葉書を写して検索したらしい。そこには『風の歌を聴け』や『1973年のピンボール』、『ダンスダンスダンス』の表紙が並んでいる。それらの表紙は佐々木マキが描いている。
そう言われてみると、DM葉書の大沢昌助の絵はたしかに佐々木マキに似ている。佐々木マキは1946年生まれ、大沢より40歳以上若い。初め『ガロ』にマンガを描いていたが、のちイラストレーターとして活躍している。すると佐々木は大沢が好きなのかもしれない。好きな画家にはしばしば影響を受けるから。
大沢昌助――佐々木マキ――村上春樹――娘、という線がつながったようだ。それにしてもGoogle Lensの有能さには驚いてしまった。
大沢昌助展「具象・抽象」
2022年2月14日(月)―2月26日(日)
11:30-19:30(最終日17:00まで)日曜休廊
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うしお画廊
東京都中央区銀座7-11-6 GINZA ISONOビル3F
電話03-3571-1771