ギャラリーなつかの酒井香奈展を見る

 東京京橋のギャラリーなつかとCross View Artsで酒井香奈展「きのう、きょう、あした」が開かれている(12月11日まで)。酒井は1969年茨城県生まれ、1992年に武蔵野美術大学造形学部油絵学科卒業、1994年同大学大学院造形研究科美術専攻油絵コースを修了している。2008年と2010年、2020年にこのなつかで個展を開き、その他アートギャラリークローゼットや櫻木画廊、かわかみ画廊などで個展を開いている。

 酒井の言葉、

 

朝と夜、見えるか見えないかの色彩を何層も重ねる制作は昨日と今日、今日と明日をつなぐ、自分との文通のようである。朝の色彩に応える為に、夜、また新たな気持ちで画面に向かい、明日への問いかけをするように、絵の具を重ねていく。制作の間に、何かが見えかかっていても、次の日には、跡形もなく違う色彩で覆ってしまう事もある。

長い間やりとりした結果、最初に戻ってしまう事もある。昨日受け入れる事のできなかった色彩を今日は完成への手ごたえとして感じる事もある。そして明日はどう変化していくのだろうか。昨日、今日、明日、地図を持たない寄り道を楽しむような制作を今は心地く感じている。

 

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 そうなのか、展示された作品を見ていると、順調に完成にたどり着いているように思ってしまうけど、そこには様々な試行錯誤があるのか。そういえば、野見山暁治『さあ 絵を描こう』(河出書房新社)で、岬に囲まれた海をキャンバスに描いていく経過を経時的に撮影したページがあったが、手前の屋根を丁寧に描いたり潰して見たり、向こうの岬を描いたり消したりしていた。そして、「最後は素知らぬふりをして、簡単に描いたような絵になればよい」と結んでいた。

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酒井香奈展―きのう、きょう、あした―

2021年11月29日(月)―12月11日(土)

11:00-18:30(土曜17:00まで)日曜休廊

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ギャラリーなつか/Cross View Arts

東京都中央区京橋3-4-2 フォーチューンビル1F

電話03-6265-1889

http://gnatsuka.com