東京京橋のギャラリーなつかで平田達哉展「表現の汽水域」が開かれている(9月25日まで)。平田は1961年、北海道遠軽町生まれ。1984年、金沢美術工芸大学美術科油画専攻を4年次で中退。この年、スペインのグラナダで2人展を開く。1991〜93年、イタリアでウィリアム・キセラ氏に師事する。私も2016年のなつかでの個展をこのブログで紹介している。
平田の画面は下地に黒色が塗られていてその上にベージュっぽい色が塗られている。上に塗られた色を削って黒い線が現れる。その線を生かし、色彩を塗り重ねる。
平田がちらしに書いている。
描き始める時はいつも朧げだ。観念的イメージと実在の情景があたかも河川の淡水が海に出会ったときの様に戸惑いながら分離して靄のように揺らいでいる。線と面と色彩が互いを探るように見合っているのだ。線の流れ、色や形、配置などの理想をあれこれ模索しているうちに、やがてひとつの必然に収束していく。動かしようのない唯一の地点に至った瞬間に豊潤な水域にたどり着いたと気が付く、そして絵が完成する。
「動かしようのない唯一の地点に至った瞬間に豊潤な水域にたどり着いたと気が付く、そして絵が完成する」、作品を見るとそれがよく分かる。いずれも完成度が高く、優れた達成を示していると思う。色彩感覚にも非凡な才能を見せている。
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平田達哉展「表現の汽水域」
2021年9月20日(月)―9月25日(土)
11:00-18:30(最終日17:00まで)
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ギャラリーなつか
東京都中央区京橋3-4-2 フォーチューンビル1F
電話03-6265-1889