東京ステーションギャラリーの「コレクター福富太郎の眼」展を見る

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  東京ステーションギャラリーで「コレクター福富太郎の眼」展が開かれている(6月27日まで)。美術館のホームページから、

 

福富太郎(ふくとみ たろう/1931-2018)は、1964年の東京オリンピック景気を背景に、全国に44店舗にものぼるキャバレーを展開して、キャバレー王の異名をとった実業家です。その一方で、父親の影響で少年期に興味をもった美術品蒐集に熱中し、コレクター人生も鮮やかに展開させました。念願だった鏑木清方の作品を手はじめに蒐集をスタートさせますが、著名な作家の作品だけでなく、美術史の流れに沿わない未評価の画家による作品であっても、自らが良質であると信じれば求め、蒐集内容の幅を広げていきます。(……)福富コレクションといえば美人画が有名ですが、本展は、作品を追い求めた福富太郎の眼に焦点をあて、美人画だけではない、類稀なるコレクションの全体像を提示する初の機会となります。鏑木清方の作品十数点をはじめとする優品ぞろいの美人画はもとより、洋画黎明期から第二次世界大戦に至る時代を映す油彩画まで、魅力的な作品八十余点をご紹介いたします。

 

 福富太郎のキャバレーといえば「日の丸」だ。大衆キャバレーとして有名だったが入ったことはなかった。若いころ私が働いていたキャバレーは銀座の「メイフラワー」と渋谷の「エンパイア」だった。メイフラワーは高級キャバレー「クラウン」の大衆向け姉妹店だった。エンパイアはホステス700名の巨大キャバレー。50年前は本当にキャバレー文化の花盛りだった。

 さて本展覧会に戻る。コロナ禍で入場制限をして、あらかじめ日時指定の前売券を予約し、それをローソンで発券しなければならないという面倒な手続きが必要にもかかわらず、観客は多かった。有名な福富太郎のコレクションを初めて見た。コレクションはほとんどが日本画でそれも美人画が多かった。私の最も興味のない世界だった。でもこんなに観客が多いなんて、日本人はやっぱり美人画が好きなんだ。

 最後の方の部屋になってようやく洋画が展示されている。黎明期の洋画として高橋由一や山本芳翠、五姓田義松などが見られ、さらに岡田三郎助、萬鐵五郎、村山槐多、佐伯祐三小磯良平宮本三郎などが続く。このあたりでやっとゆっくり見る気になった。

 むかし野見山暁治さんが、同じくらいの評価の画家がいたら、値段は日本画が洋画の10倍だと言っていた。野見山さんが号20万だから日本画だったら号200万という計算だ。その訳は日本画は全国に需要があるからだと。

 

※追記

 監修者の山下裕二が「私は、福富太郎という人は、間違いなく戦後最高のコレクターだと思っています。」と言っている。私は福富太郎は美術を見る眼がなかったと思いました。凡庸で卑俗であったと。

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「コレクター福富太郎の眼」

2021年4月24日(土)―6月27日(日)

10:00-18:00(金曜日~20:00)月曜日休日

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東京ステーションギャラリー

東京都千代田区丸の内1-9-1

電話03-3212-2485

http://www.ejrcf.or.jp/gallery/

※JR東京駅丸の内北口改札前